片山晋呉は大会ホストVならず 若手に厳しい注文も
北海道の恵庭カントリー倶楽部で開催された「片山晋呉インビテーショナル ネスレ日本マッチプレー選手権 レクサス杯」。片山が最後の最後に涙をのんだ。最終日の午前中に準決勝で今平周吾を2UPで破ったが、決勝戦で武藤俊憲に3&1で敗れ、ホストプロを務める大会でのタイトルを逃した。
雨音が静かになった日曜日の午後。出だし3ホールを連取し、武藤に対していきなり3UPとリードした片山の内心は揺れていた。「体力が持たなかったな。完全に。朝の試合をやって、もう何も残っていなかった」。序盤から通算28勝のベテランが醸す独特の雰囲気を、相手に存分に感じさせながらも、パワーは底をついていた。
ショットが徐々に乱れ、ハーフターンする頃には1DOWNに後退。12番(パー5)のバーディで振り出しに戻したが、その後は武藤のパットがさえ、片山は最終ホールを残して敗れた。「まあ、よくやりましたね…。それしかない。15、16番と僕が良いプレーをしても、ポイントにならなかった。(武藤は)勝つ人のプレーをしていた」と素直に勝者を讃えた。
夢のホスト大会での勝利こそならなかったが「手応えは“大あり”」と、今季初勝利が待ち遠しいシーズン後半戦への好感触を感じている。昨年に続く大役を終え、一層充実したトーナメントにするために「次はもっと選手の意見を聞いてやるのもいい。さらに価値のある大会にできれば」と、主宰する立場としての意欲も一層強くなった。
一方で若手選手への注文も忘れなかった。「世界に挑戦する人材をサポートしたい」というコンセプトから出場32人のうち、20代の選手を13人選んだが「(決勝戦が)37歳の武藤と42歳(片山)じゃね…」と寂しさを募らせた。
片山が彼らに求めたのはゴルフのプレー以前の立ち振る舞い。「目上の人にしっかり挨拶ができているか。“ちわーす”じゃないんだよ。僕は今週も何人かに注意した。1つでも年上の先輩には敬意を払うべき。彼らが勝てない理由のひとつは、僕はそこにあると思っている」。ティグラウンドに立つ以前に、目の前の相手へのリスペクトはあるか?永久シードプレーヤーは、最後に厳しいメッセージを投げかけて3日間を締めくくった。(北海道恵庭市/桂川洋一)