ヤニとポーラ 涙にあふれた藍とのラウンド
◇海外女子メジャー◇エビアン選手権 2日目(15日)◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6470yd(パー71)
宮里藍の現役最終戦。その同伴競技者に指名されたポーラ・クリーマーとツェン・ヤニ(台湾)は、それぞれの思いを携えてティオフしたが、終わってみれば2人ともに涙に暮れる1日となった。
10番スタートのこの日。クリーマーが左手首の痛みを訴えたのは、14番(パー3)だった。「火曜日の午後から悪かった」というが、ティショットを打った瞬間に顔をゆがめると、2打目となるバンカーショットを打てずにポロポロと涙をこぼした。競技委員を呼び、トレーナーの手当てを受けてプレーを続けたが、そこから9ホール目となる後半4番のティショットを打ち終えたところで、やむなく棄権を決断した。
いまにもプレーをやめるかと思いきや、限界まで懸命にプレーを続けたクリーマー。「もちろん、良いプレーをして優勝をしたい。最近は良いプレーができていたし。それに、親友の1人の最後のラウンドだから…」と言葉を詰まらせたが、宮里の最後の試合は見届けるつもりだという。
「(最後に)一緒にプレーをしたいと言われたのは、いままでで最もすばらしい贈り物のひとつだった。あす、彼女(宮里)がホールアウトするときにはグリーンで出迎えるし、日曜日にもそれができたらいい」と誓った。
一方のツェン・ヤニは、11番で4パット。さらに2度の3パットを献上するなど、グリーン上で苦戦した。5オーバーで初日を終えると、宮里と2人となったスコアカード提出所で肩を揺すって涙をこぼした。
「ロングゲームはとても良くなってきて、優勝できそうな気がするくらい。でも、きょうは一度グリーンに球が載ったら、どうしたらいいか分からなかった。何が起きたのか分からない。人生で初めての感覚だった」と困惑気味に振り返った。
宮里に背中をさすられながら泣いた提出所の中。「彼女は『全部出して、泣いていいよ』と言ってくれた。彼女もパットに苦しんだ経験があるし、『どう感じているか分かるから』と言ってくれた。『大丈夫。世界が終わるわけじゃないから』って」。
涙を乾かし、パッティング練習場に戻った。「藍とプレーしていなかったら、もっとひどいことになっていたと思う。あすは良いプレーをして、一緒に楽しみたい」と、宮里とのもう1ラウンドを心待ちにしていた。(フランス・エビアン/今岡涼太)