米国女子ツアー

天才少女ミッシェル・ウィを取材!

2003/10/10 09:00

私(筆者)はミッシェル・ウィより背が高く(ウィは180cmで未だ成長期の過程にあるが)、年上で(当たり前。彼女は13歳)、議論の余地はあるが利口だと思う(ウィは生物学、国語、地理、日本語、社会の科目を履修中で、私の専門は口座の残高調整と、借金調整)。

こんな風にウィを論じておいて何だが、我々はこの少女を好奇のまなざしで論じたり分析したりしてきた。13歳の少女には酷な部分もあっただろう。そろそろ彼女を我々マスコミから開放してやるべきだ。アマチュア実績の偉大さ云々はもう良いじゃないか。それは彼女自身が評価すべきものであって、我々が差し出がましい事をするべきではないと思う。

ウィについて噂をすることや、強く非難することがLPGA(米国女子ツアー)で流行となってきた。人々が話している内容とは次のような内容である。「個人のゴルフ・ツアーで国々へ飛び回ってないで学校に行くべきだ。まず普通の十代の子供として行動し、その次にゴルファーとして振舞うべきだ。プロのイベントで詰まったスケジュールを組む前に、まずジュニアのイベントを制覇することを考えるべきだ。彼女と両親は、この大きな領域に飛び込んでくる前に、ゴルフの繊細さを極めるべきだ」

彼女の名誉を減ずるすべての人に「ウォターハザードに入って頭を冷やせ」と、私は強く返答したい。彼女は普通の女の子ではなく、私たちの規準を彼女に押し付けることは、彼女が神から授かった素質と好奇心、そして彼女のゴルフ界での個性的な存在への妨げとなる。彼女は天才であり、そして彼女は不思議な女の子である。彼女は13歳で大学に入学した子供と同じなのである。ただ、彼女は大学ではなく、ゴルフ界に参加したのだ。私たちがこの生まれつき才能のある若者に夢を捨てるように要求する権利などあるのだろうか?

9月24日、私はウィとメグ・マローンとセーフウェイ・クラシック前のプロ・アマチュア選手権に参加した。そこで私はマローンよりも飛距離は出たが、人生の中で最高の飛距離を出したとしても、ウィの飛距離には19ヤード及ばなかった。彼女の飛距離が私の飛距離より41ヤードも越えたこともあった。驚異的な飛距離を出すドライバーも魅力的だが、アイアンショットはさらに冴えわたる。彼女はフル・ウェッジの達人である。彼女がより高いレベルに達するには、ピッチ、チップショット、そしてパットだろう。

この常識を外れた身体能力により、普通のゴルファーが経験できない機会が彼女に訪れる。7月に開催された全米女子オープンの後、南カリフォルニアに行き、タイトリスト・テスト・センターで1日、そしてテーラーメイド・テスト・センターで1日を過ごした。

タイトリストのクラブは690MBのアイアン、ボブ・ボキーのウェッジが4本(48、52、56、60度)そしてスコッティ・キャメロン・ニューポートIIのパター(「タイガーと同じよ」と彼女は自慢げに言っていた)である。13歳で、アイアンのシャフトを“S-300”から標準よりも半インチ長い、“X-100”ダイナミック・ゴールドのスチールシャフトに変えた。ボールはタイトリストプロV1xを使用している。

テーラーメイドのクラブは:R580ドライバー、15度のVスチール3番ウッド。タイトリストのゴルフバッグを持ち、テーラーメイドの大きなタオルを持つように気を使う。ドライバーのヘッドカバーには「ビッグ・ジョン」本人からプレゼントされたジョン・デーリーモデルのライオンである。

ウィはホノルル市の私立高校に通い、ゴルフのため学期ごとに3週間の休学期間を許可され、宿題は移動中にしている。今後の進路に関しては高校で4年、そして希望校であるスタンフォード大学で4年を過ごそうと計画している。現在ウィは9年生(日本の中学3年)なので、これから8年間はプロに転向することはないだろう。スタンフォード大学から卒業するか、あるいは憧れのゴルファー、タイガー・ウッズと同じように2年で中退するかは、本人の自由である。彼女が13歳、そして20歳の時点でどのような人生の選択をするかに口を出す権利など私たちにはないのだから。

彼女の父親であるB.J.ウィはハワイ大学の運輸管理学部の教授を務める。彼は現在、1年間の有給休暇を取っており、ホノルルの不動産関係の仕事を持つボウ夫人と共に一人娘のミッシェルに同行している。

5万から10万ドルと予測される家族の旅行費に関して聞かれた際、「家に帰ったら、請求書がたくさん溜まっているでしょうね」とB.J.ウィは質問をかわし、2003年度のゴルフに関する出費については明らかにしなかった。

どこから見ても仲の良い幸せな家族である。彼等と去年1年間多くの時間を過ごし、忍耐力、率直な態度、そして自分たちの誤りを認識する彼らの価値観に私は尊敬の意をもった。

彼の娘のキャディとして、今夏、ポートランドで開催された全米女子オープンに参加し、ダニエル・アマカパーニによる不愉快な態度に耐えたB.J.ウィだが、セーフウェイ・クラシックでは姿を見せず、ジュリー・インクスターのキャディが代わりに務めることになった。

親から数ヶ月間離れて、子供をゴルフ塾に入学させることが頻繁に見られるこの時代に似合わず、ウィの家族はいつも一緒に行動している。

13歳という若さで、ウィは2003年に6つのLPGA大会に出場し、そのうち5つで予選を通過した。メジャー大会であるクラフト・ナビスコ・チャンピオンシップではトップ10入りを果たした。このことから普通の女の子ではないことは、もう十分明確だ。ゴルフの実力は同じ年齢であった時のタイガー・ウッズをも遥かに超えている。

空論だけでこの素晴らしいゴルファーについて語る評論家達へ、私からのアドバイスである「彼女をそっとしておいてあげよう。そして、自身自分で教訓を受け止め、自分のペースで成長させてあげよう」。きっと彼女の決断に対し、我々も同感するはずだろう。

最後に「来年の秋も同じようなスケジュールを組むのか」と彼女に聞くと、「もちろん、違うわ。学校に通いたいから」と彼女は即座に答えた。

Golfweek