渋野日向子 “直ドラ”再チャレンジ成功で11位浮上
◇米国女子◇ロッテ選手権 2日目(14日)◇ホアカレイCC (ハワイ州)◇6603yd(パー72)
“チョロ”の借りはすぐに返す。渋野日向子は前日失敗した直ドラに、この日もチャレンジした。しかも2回! 1つスコアを伸ばして迎えた後半のパー5、1番と5番。いずれもフェアウェイからグリーンエッジまで240yd以上を残した第2打で1Wを強振した。
パーにした「1番はちょっと危なかった」のに対し、5番はグリーン左手前まで運んでバーディにつなげた。「悩んだんですけど、(風が)結構フォローだったので。3Wは高さ、キャリーは出るけれど、グリーン手前が受けている(グリーンに向かって上っている)のであまり転がってくれん。1Wの方が転がってくれる」という狙いがあった。続くチップを寄せきれず5mを沈めるバーディになったが、「3打目で狙いやすいところに行った。バンカーにも、右の池にも入らず」と好結果につながったのがうれしい。
「地面が硬い全英(女子オープン)とかでは使えないというか、怖い。でも、フェアウェイの芝が柔らかいところなら使えるかな」。ツアーメンバーになったこのオフの間から練習してきた新しいショットはしっかり武器になりつつある。
26位から出たこの日はティオフからひっきりなしに午後の強風に吹かれた。難コンディションで、前半12番(パー3)でボギーを先行させながら、どっしり地に足をつけてプレー。追い風になる15番(パー3)はウェッジでの第1打を手前エッジのギリギリに落とし、5mのバーディチャンスをつくり、生かした。
続く16番、17番はいずれも左からの向かい風、そしてグリーンに近い小川と池が手ごわいパー4。セカンドのコントロールショットが光った。130ydを残した16番は7I、17番は135ydを6Iといずれも番手を上げてグリーンセンターをキャッチ。「16番は奥からの下りのパットが残っても仕方がないと考えた。17番も左から結構風が来ていたので、真ん中に乗ればいいと」。難所の2ホールをパーでしのぎ、2打目をグリーン左奥まで運んだ18番(パー5)のバーディにつなげた。
荒れ狂う強風の中で3バーディ、1ボギーと穏やかに「70」。パーオン失敗が3回とショットが安定し、通算3アンダーで11位に順位を上げた。「風が吹くと分かっていた分、『スイングをちゃんとしよう』と考えてスタート前の練習もやっていた」。状況が悪い時ほど自分のプレーに徹する。「(調子が)悪くないから振れている。今のスイングをやり切れば真っすぐ飛ぶのが分かっているからかな。先々週(シェブロン選手権)もそう」。頭の中は今、とてもシンプル。
「一番上(首位のキム・ヒョージュ)との差は(7打)ありますけど、そこで戦っていると思うと欲が出るので、抑えながら、風と向き合う」。最終9番、「入ったと思った」グリーン左奥からの寄せはカップ際で止まってバーディならず。カップインを待つまでもなく、とっととウェッジでタップインした。「待たなかった? あれは潔く。待ってもね、さっさと帰りたいなと思った(笑)」。ラッキーは週末に取っておく。(ハワイ州エワビーチ/桂川洋一)