マスク姿のキム・アリムが大逆転V 「全米女子」を席巻する韓国勢
◇海外女子メジャー◇全米女子オープン 最終日(14日)◇チャンピオンズGCサイプレスクリークコース(テキサス州)◇6731yd(パー71)
コロナ禍の2020年を象徴する優勝シーンかもしれない。大会初出場どころか「海外の試合に出ることも初めて」というキム・アリム(韓国)はマスクを着用したままプレーする理由を問われ、「練習のときはいつもしているから、慣れているの。(仮に)新型コロナウイルスの陽性反応が出ても、自分のことは仕方ないと思えるけど、同じ組でプレーしている選手やキャディに迷惑をかけたくない。だからラウンド中も外さないわ」と言った。
マスク姿でのプレーも相まって、インパクト十分の猛チャージでビッグタイトルをさらった。首位の渋野日向子とは5打差9位からのスタート。「ラウンド中、ずっとリーダーボードは見ていた。だからこそ、よりアグレッシブに攻めようとしたのかもしれない」。前半で3つ伸ばして優勝争いに加わった。折り返して10番から2連続ボギーをたたいた後、上がり3ホールが圧巻だった。
16番(パー3)で5Iを3mに絡めてバーディ。17番も8Iのセカンドショットをベタピンにつけて獲り、最終18番もPWでバンカー越えの狭いエリアに落として3連続バーディ。「67」で通算3アンダーとし、渋野や2位に入った世界ランキング1位のコ・ジンヨン(韓国)を振り切って大会史上最大の逆転劇を完結させた。
2006年のランキング発足以来、最も低い世界ランク94位での全米女子オープンチャンピオン誕生。朴セリキッズの代表格とされる朴仁妃が2008年のこの大会でメジャー初タイトルをつかんで以降、13年で韓国勢の優勝は「9」を数える。
「私がゴルフを始めたのは、朴セリが(1998年に)全米女子オープンを優勝した後のこと。その(最も影響を受けた)世代よりは少し若いけど、彼女はインスピレーションを与えてくれたロールモデルの1人。LPGAツアーと韓国ゴルフ界の歴史を紡いできた偉大な人。とても光栄で、まだ優勝の実感がわかないです」
母国のパイオニアに敬意を表した25歳。冬開催ならではの気温5℃の寒さの中、仲間からシャンパンシャワーでお祝いされ、マスクをつけたまま喜びに浸った。