2020年 全米女子オープン

泥付きボールは「あるがまま」? 全米女子の“保守主義”に選手から疑問

2020/12/14 12:45
メジャー2勝目を目指す渋野日向子にとってUSGAのルールは追い風となるか

◇海外女子メジャー◇全米女子オープン 4日目(13日)◇チャンピオンズGCサイプレスクリークコース(テキサス州)◇6731yd(パー71)

ぬかるんだコースでのプレーを求められた前日の第3ラウンド。単独トップの渋野日向子を1打差で追うエイミー・オルソンは報道陣の問いに苦笑いを浮かべた。「泥のついたボールは何個ありましたか?」と聞かれ、「18個ですね。ディボットか、もしくはボールに泥がついていたか。ずっとそのどちらかでした」と答えた。

専門誌GOLF WEEKによれば、主催する全米ゴルフ協会(USGA)の男女メジャー競技で、悪天候によりボールを拾い上げて球を拭くリフト&クリーンや、ライを改善してプレーすることを許すプリファード・ライのローカルルールを適用した例はない。

LPGAツアーではしばし適用されるルールだが、「あるがまま」の自然の状態でプレーするというゴルフの起源を重視したとも言える。記事では「USGAの125年の歴史の中で一度もない。湿ったゴルフコースでどれだけボールに泥がついていても」と指摘している。

選手からは疑問の声も上がった。オルソンは雷雲予報が出ていた4日目を前に「リフト&クリーンをしてボールをきれいにするか、もしくは(ラウンド中に)雨が降ってボールの泥を落としてくれることを期待するしかないわ」と皮肉を交え、リディア・コー(ニュージーランド)は「難しい。泥のついたボールをどう扱えばいいかわからない」と言った。

朴仁妃(韓国)もグリーンを狙うショットの多くでボールに泥が付着していたといい、2007年大会優勝のクリスティ・カーは「USGAが考えを改めるかは不明。ただ検討はすべき」と疑問を呈した。結果的にコースコンディション不良により順延が決まったが、冷え込みが予想されるマンデーフィニッシュ。USGAの“歴史”は、その結末にどんな影響を与えるのだろうか。(テキサス州ヒューストン/林洋平)

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