暗闇の居残り練習45分 渋野日向子メジャー2勝目へ執念
◇海外女子メジャー◇全米女子オープン 3日目(12日)◇チャンピオンズGCサイプレスクリークコース(テキサス州)◇6731yd(パー71)
単独首位でホールアウトしてから30分以上が経過していた。中継テレビ局や全米ゴルフ協会(USGA)のインタビュー、現地に来ていない日本のスポーツ新聞などとのZOOM会見…。取材対応を忙しく終えた渋野日向子は急ぎ足で、ドライビングレンジでの練習に向かった。ボールの入った袋を手にして、打席に入る。オレンジ色の地平線は遠くに見えたが、空は薄暗くなりつつあった。
ちょうど午後5時30分。トップからのスイング軌道を確認するようなしぐさをしながら、アイアンショットを放っていく。堅調とは言えなかった、この日のショット。寄り添うマネジャーに手元のiPhoneでスイング動画を撮影してもらい、画面に目を凝らす。ラウンドで納得できなかった点を確認し、スイングを繰り返した。
西の空へ日が落ちる。視界がほとんど制限されるほど暗くなり、明かりが灯った。数打席の間隔を空けて打っていた残る1選手も、帰る身支度を始めていた。UT、ドライバー、アイアン、ウェッジを約30分。一通りのクラブを振り終えると、いつもの練習の最後と同じように、ヘッドの付いていないシャフトとグリップだけの器具を振った。
パッティンググリーンへの道中では、練習を終えた河本結とすれ違い挨拶を交わした。誰もいないグリーンに上がった。近隣の国際空港から離陸した飛行機のジェット音が聞こえる。
それでも、集中力をそぐ様子はない。3つのボールを使って、一カ所のカップを鳴らす練習。円を描くように4方向に移動していき、それぞれのラインを使ってショートパットを反復した。
約45分間の居残り練習を終えた午後6時15分。周囲は肌寒く、もう真っ暗だった。「おつかれさまでした~」と元気に帰路についた。前週末からの練習ラウンドを含め、8日間で117ホールを回ってきた。残り18ホール。最後の力を振り絞る。(テキサス州ヒューストン/林洋平)