<カンバック、イザワ~!! 心の中で思わず叫んだ先週末>
なんだかすご~く寂しくなってしまった…。先週は、15日に兵庫県佐用町で行われたツアー外競技の「ジョイックスオープン」でのことである。前立腺ガンの早期発見・治療の啓蒙運動「ブルークローバーキャンペーン」を兼ねたこのチャリティトーナメントですら選手としてではなく、テレビ解説として参加していた伊澤利光のことだ。
ラフなパーカー姿で会場を歩いていた伊澤は心持ち頬のあたりもふっくらとして、元気そのものには見えたのだが、そこにはスポーツ選手特有の精悍さはなかった。
「もうゴルフはいいよ」と、伊澤はぽつりと言った。
かつてはツアーきってのスウィンガーと呼ばれ、米メジャー制覇も夢ではないとも言われた。若手ベテラン問わず“同業者”たちからも熱烈コールを浴びるほどの実力者であった。ボールを巧みに操る技は、天才と呼んでもさしつかえなかった。
それほどの選手が「今は年に数えられるほどしかラウンドもしない」と言うのだ。「2ヶ月くらい、クラブを持たない日もある」とも。そして、そんなたまのゴルフでは「アマチュアの人の気持ちが分かる」とまで。
サラリーマンの方々は、そうそう毎日クラブを握れるわけでもない。「月1ゴルフで“あれ、テイクバックはどうやって上げるんだったっけ…”なんて言ってる人。何を言ってんだかと、俺も前は思っていたけれど。今はそれが分かるんだよ。俺もね、久しぶりにゴルフに行ったらあれ、どうやって振っていたっけ…なんて戸惑ったりして。いや、これ本当にね」と、ニコニコと無邪気に笑うのである。
今でもファンの間には、伊澤待望論が根強い。あれほどの選手である。「また必ず戦いの場に戻ってきてくれる」と、信じて待ち望む声は多い。しかし、今回のチャリティ大会でもずっと中継ブースに籠もったきり。完全にテレビ解説者になりきる様子にもはや、それも叶わぬ望みなのかもしれないと、ついため息混じりに思ってしまう。
本人にはきっと、この数年の間に大変な葛藤があって、悩んで悩んで悩み抜いたゆえに出した今の境遇なんだろうけれども、かつてはあのタイガーにも匹敵するとまで言われた才能を目の当たりにしてきた者にとっては、どうしても諦めきれない。かつてのあの輝きを取り戻して、ぜひツアー界に帰って来て欲しい。そう願わないではいられなかったのである。…カンバ~ック、イザワァァァ!!