<選手会長が抱えた腰痛の原因は意外にも・・・!?>
最初は多くの選手が疑心暗鬼である。JGTO主催のオフの強化合宿でも取り入れている、4スタンス理論である。廣戸聡一先生が提唱されている「人間の体の動きには、4つのタイプがある」なるそれである。特に、すでに実績や名声を残しているトッププロほど実態を知らないうちは、慎重な態度を示す。自分の中で貫きたい信念が、強いからだろう。
だが、実際に廣戸先生が被験者の体を魔法のようにぐにゃぐにゃに柔らかくしてみせたり、また反例として、自分のタイプとは真逆の動きを指示されて、ロックをかけたように関節が曲がらなくなってしまったり、そういうのを目の当たりにすれば、誰でも一気に引き込まれてしまうのである。
強化合宿を下見に訪れた選手会長がそうであった。「俺自身が何タイプかを、知りたいかって? いいや、知りたくないよ」とはじめはただ苦笑いを浮かべて無関心を装っていた池田勇太であったが、講義が終わるころにはいつの間に先生に確認したのか、自分の体のタイプを把握しており、先生に質問をぶつけるまでになっていた。
特に池田が気になっていたのは最近、とみに感じていた腰痛のことで、確かに昨年、選手会長に就任してからますます車や電車での長時間の移動が増えて、それも一因ではあったのだが、それ以上に深刻だったのがまさに、“職業病”といってもいいこの原因であった。
会長たるもの、ビシっと凛々しく礼儀正しく。そういう心意気から公の場では特に、慣れないシングルのスーツを着て胸を張り、背筋を伸ばして立つようにしてきたのだが、実はそれが腰に負担をかけていたとは池田も、目からウロコ。何でも、池田の体のタイプからいえば、もっとも不自然で、負担がかかるのがその姿勢であり、そのため会長就任後に特に、痛みを訴えるようになっていたと分かれば、さもありなん・・・。納得するしかない池田なのであった。
すっかりウロコがはがれ落ちた池田は、廣戸先生に「これからもゴルフ界を担う子どもたちの指導にも、力を入れて欲しい」と直談判をはじめたほど。
腰痛の原因が分かった今では、いつもの脱力系の猫背に、ガニ股歩きに戻ってしまうかもしれない?!
でもそれでもいいではないか。ゴルフも、会長職も自分らしいのが一番。ゴルフ界を愛する気持ちには違いなく、2期目にかける意気込みはどこまでも熱く、今年もビシッと邁進を続ける選手会長なのである。