<優勝の祝福も節度を保って・・・“場外”の負傷は絶対に避けたい>
2004年のABCチャンピオンシップで、ツアー初優勝をあげた井上信が仲間の胴上げのさなかに地面に落下。池にはめようとしたのが、タイミングがずれて惨事となった。肋骨を骨折する怪我を負った経緯は人気ワイドショー番組でも前代未聞のハプニングとして取り上げられたほどだから、覚えておられるファンの方もきっといらっしゃるだろう。
その直後はしばらく自粛ムードが流れて、胴上げや池に放り込む危険な行為はやめようという空気になった。その後の選手生命にも関わるだけにぜひ、引き続き慎重に対応してもらいたいという思いを新たにしたのが今年のつるやオープンだった。
藤田寛之の大会2勝目では実は、チャンピオンではなく胴上げをした方に負傷者が出た。被害に遭ったのは、4番目の弟弟子の上井邦浩。どさくさに紛れて、おそらく誰かの手と手の間に自分の手が挟まってしまった。「そのまま藤田さんの体を勢いよく持ち上げて・・・。左小指を負傷しました」。突き指の症状は2週間たっても違和感が残り、一歩間違えれば悲惨な目にあっていたところだった。
「だから僕は危ないから胴上げはやめましょう、とずっと言っていたのに・・・。言ってる自分が怪我しちゃいました」と、上井は苦笑したものだ。先週の「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」では難コースで楽々と予選通過を果たしていたし、大事に至らなかったのが幸いだったが、今後もこういうシーンがまたどこかの大会で繰り広げられることだろう。
仲間を祝福する姿は見ていても非常にすがすがしいし、とても良いことだと思う。それでも選手のみなさんには、そのリスクを十二分に承知した上で、ほんとうに慎重に対応してもらいたいと心から願う。あとから「あのときの胴上げが原因で・・・」などと悲しい台詞は聞きたくない。せっかくの好意を悲劇しないためにも、ぜひ節度を守った祝い方を心がけてもらいたい。