<大洪水に苦しむタイ出身、プラヤド・マークセンがシーズン最後に日本にお見舞い>
今年は東日本大震災に始まり、国内外で数々の災害に見舞われた1年だった。もっとも記憶に新しいところでは、タイの大洪水だろう。ジャパンゴルフツアーにも、タイの選手がたくさん参戦しており、気にかけてくださっていたファンのみなさんも多かった。
「ご心配をおかけしました」と、頭を下げたのはベテランのプラヤド・マークセン。2週間ぶりに来日したダンロップフェニックスで、母国の現状を教えてくれた。
「幸い私の家は、玄関に少し水が入ってきたくらいで済みました」と、マークセン。しかし、親友のブーンチュ・ルアンキットや、タワン・ウィラチャンの自宅は「首まで浸かった」。外出もままならず、やむをえないときはボートで移動したという。
「私の家は、10月から土嚢(どのう)を積みました。それが、役に立ってくれたと思います」と、マークセンは振り返る。「妻や子供は、被害のなかったホアヒンの実家に今も“疎開中”です。まだまだ不便はありそうですが、みんな無事で本当に良かった」と、安堵するにつけてなおさら思い浮かぶのは、東北の被災地のことだという。
「私たちの国はたしかに水浸しにはなりました」。しかしそれも次第に引きはじめ、次は疫病などの流行が、不安の種ではある。「それでも、大切な家族も家も、残っています。だけど、津波はすべてを奪っていったんですよね」と、沈痛な面持ちで俯いたマークセン。「僕らの国も大変な目に遭いましたが、きっとまた徐々に元の生活に戻れると思います。日本もそうなることを、心から祈っています」。形は違えど、自身もやはり大きな苦難に遭ったからこそ、なおさらシーズン最後に言わずにはいられなったようだ。
※母国も大規模な水害に見舞われながら今季は2年ぶり10度目となる賞金ランキングによるシード権を取り戻したマークセン。タイは微笑みの国。「苦しいことも、笑っていればきっと乗り越えられます」と、マネージャーの上江洲さん(左)と今日もニッコリ。