<妻はスターと同姓同名、星野英正の故郷愛>
伴侶を得て2年目のシーズンを迎えた。昨年6月に入籍。今年2月に式を挙げた妻の百恵さんの旧姓は「山口」。
大スターと同姓同名は、新婦ご本人にとってはかなり重かったそうだ。まず、病院や銀行の待合室がつらかった。「山口百恵さ~ん」と呼ばれるたびに、恥ずかしくて仕方がない。星野自身も、「最初会ったときは、芸名かと思った」というくらいだから、そのたびにあれやこれやと詮索されて弁明したり、さぞ面倒な思いをしてこられたことだろう。
それを承知で命名されたからには、ご両親が相当熱心な百恵ファンかと思いきや、別段そうではないという。実は、百恵さんが生まれるまでは、男の子だと思っていた。が、いざ女の子が誕生し、男の子の名前しか頭になかったご両親は、「まあ、そういうことなら同じ百恵にしておこうか」というような経緯だったらしい、と星野が明かした。
それだけに2年の交際でゴールインした百恵さんは晴れて星野姓になって、「やっと変われた」と、その面でも喜びいっぱいだったという。
幸せを改めて噛みしめた披露宴から1ヶ月。あの大震災が日本を襲った。星野のご両親と、ご兄弟が住む宮城県の利府町の実家は高台にあり、津波の被害こそ逃れたが、壁にヒビが入り、ガラスも割れた。3月11日は、宮崎合宿中だった星野はすぐに実家に電話をかけた。「まだ揺れている途中で、後ろで何かが倒れる音がしているし、母親は泣き叫びながらパニックになっていた」。
そのときの声はまだ耳の奧にあり、「二度と親の悲鳴は聞きたくない」。東北福祉大の後輩の松山英樹さんが大活躍したマスターズも「見る気も起きなかった」と、余震に怯える両親を気遣う日々が続いた。そして迎えた開幕は、「いまも地震で苦しむ人のことを考え諦めてはダメだと思う」と、逆に力に変えて闘っている。
東建ホームメイトカップで得た金額は、2日目に13番でのホールインワン賞金100万円を合わせて約300万円ほど。「さっそく母親に報告したら喜んでくれて。実家は建て直すしかないけれど、兄貴ばかりに負担はかけられないし、俺が稼がないと、という気持ちは強い」。
そして、全力プレーは、愛する故郷・仙台への精一杯のエール。「今年は全試合、東北のためにやるつもりです」。同時に、星野が住む兵庫県西宮市の自宅にご両親を一時避難させている間も、献身的に尽くしてくれた妻の百恵さんにもぜひ感謝の1勝が欲しい。