<プロゴルファーのもうひとつの特技とは>
プロゴルファーの特技とは、まず一番はもちろん「ゴルフ」。そして、もうひとつ共通していると思われるのが車の運転。全国津々浦々。マイカーを宿代わりにして日本縦断をする選手もいるほどで、そんな転戦生活の中では自ずとハンドルさばきも巧みになるようだ。
仕事上、何度かプロの車に同乗させていただいたことがあるが、みな本当に運転が上手い。生涯獲得が、ン億円を越えるあの選手の愛車はそれはもう、ものすごい高級外車で当然のことながら、車体も道いっぱいに幅を取るのだが「絶対に無理」というような狭い路地でも、コンパクトカーばりにスイスイとすり抜けていく様は、ただただ感心するばかりである。
慣れもあるとは思うがやはりこれは、人並み外れた運動神経の持ち主だからこそなせるワザに違いないと確信しつつ、さらに車が高速道路に分け入ったときに、また新たなプロの特技を発見した……!!
お行儀よく法定速度で走行車線を走っていたそのプロ。ふいに言った。「あの、いま追い越し車線を走っていたバンね。あれ、捕まるよ」。「えぇっ?!」と、驚いている間もなく、プロの車の前を走っていたセダンがたちまちスピードを上げて、車線変更をした。と、やにわに窓から手が伸びて、屋根に乗せられた赤いサイレンがくるくると点滅を始めた。
「前の車……“覆面”だったんですねぇ!」。
「そう。実は俺、最初っから分かっていたんだよね」と、ちょっぴり得意げなプロ。
そのあとも、そんな感じで何人かのプロにお世話になったが、みな揃いも揃って見事に覆面パトカーを見抜いたあとで、「そんなの、簡単だよ」と、こともなげに口を揃えたものである。
車とは切っても切れない生活の中から、ひと目で横を走る車がパトカーか否か、自然に判別できるようになるという。その具体的な見分け方は、いろいろ差し障りもあるからここでは控えさせていただくが、その講釈には「なるほど」と、思わずうなってしまうことばかりであった。
些細なことだけれど、…これって、プロゴルファーだけの特技じゃないとは思うけれども、それでもたまにハンドルを握っても、ボケ~っと前しか見ていないような人間(筆者…)のような凡人とはやっぱり違う。日頃からスコアメイクやコース攻略に頭をひねり、観察や予知能力に長けている選手は、車の運転ひとつとっても超一流なのである。
そんな彼らは目下、このオフにさらなる自分磨きの真っ最中。今年もシーズンが明ければまたどんな異能を披露してくれるのか。楽しみな限りである。