ツアーバンは1台だけ/LIVゴルフの現場
◇LIVゴルフシリーズ◇LIV招待 ポートランド 事前(29日)◇パンプキンリッジGC(オレゴン州)◇7641yd(パー72)
サウジアラビアの資金を背景とした超高額賞金、PGAツアーとの対立、予選カットなしの54ホール競技といったフォーマットがクローズアップされることが多い「LIV招待」。既存の勢力にとって脅威となる一方、その登場がゴルフ界に新たな動きをもたらしているのも確かだ。まだまだ未知な部分が多い新リーグの現場に潜入する。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
開幕前日のプロアマ戦といえば、ゴルフツアーで最も多くの人が練習場に出入りする一日かもしれない。プロはもちろん、ゲストのアマチュア、そしてツアーレップ。本番を翌日に控え、最高のパフォーマンスを求める選手の繊細なオーダーに応えるべく、彼らも文字通りコース内を走り回っている。
「LIV招待」の会場では、少し趣が異なる。全米を巡る各メーカーのツアーバンが練習場近くにズラリと並ぶPGAツアーに対し、ここでは少しコンパクトなバンが1台だけ。3週前に英国ロンドンで行われた初戦にも出場していた木下稜介が「クラブ調整が必要な選手は、自分たちで持って行ってお願いするんです」と教えてくれた。
車体には「THE TOUR VAN」の見慣れないプリント。現在はクラブ、ボールなどの製造から撤退したナイキで5年ほど前までツアーレップとして働いていたベン・ジェンタさんが独立して立ち上げ、アリゾナ州立大と提携したり、アマチュアやジュニア選手向けのフィッティングを行ってきたという。
ナイキの本社があるオレゴン州を拠点にしていたこともあり、今回初めてプロツアーの現場で仕事を請け負うことになった。「コブラやキャロウェイが今後どうするかは分からないけど…」。ブライソン・デシャンボーやフィル・ミケルソンといった看板選手がプレーするメーカーの動向を気にしつつ、今年はフロリダ州マイアミのトランプナショナルドラールで10月に行われる最終戦まで新リーグ側と契約を交わした。
次戦からは、さらに大型の「LIVゴルフ」のバンとなり、“オフィシャル”色を強めて選手のサポートに当たっていく予定。新規参入のハードルが低いのも、新たな組織ならではだ。(オレゴン州ノースプレインズ/亀山泰宏)