2019年 ファーマーズインシュランスオープン

ローズ、スコット、松山英樹 大物たちが示した“存在感”

2019/01/29 16:34
パターを変え、ストロークを変え、旗竿を挿したままでパッティングを行ったアダム・スコット(Keyur Khamar/PGA TOUR)

前週の米ツアー「ファーマーズインシュランスオープン」は、状態が懸念された大物選手が存在感を示しました。優勝したジャスティン・ローズ選手(イングランド)、2打差2位になったアダム・スコット選手(オーストラリア)、そして2季ぶりにトップ3に入った松山英樹選手のことです。

まずは今年から本間ゴルフと用具使用契約を結んだローズ選手。世界ランキング1位、昨季のツアー年間王者という立場にありながら、さらなる前進を求めて変化することを選びました。2週間前の19年初戦、欧州ツアー「デザートクラシック」で34位。もちろん強い選手なので、それほど心配されたわけではありませんが、クラブを替えて早々に結果を残せたことは大きいと思います。

最終日の前半7番、38歳のベテランの地力が出ました。2打目はグリーン右サイドに切られたピンに対し、右手前にガードバンカーがある状況。ローズ選手はその日の5番、同様のシチュエーション(右ピン)で、右手前のガードバンカーに入れボギーにしました。直前の6番(パー5)では3パットのパーに終わり、ラウンド前にあった3打のリードは、ジョン・ラーム選手(スペイン)に1打にまで詰められていました。

高難度のホールで、嫌な流れを断ち切るためにピン左に置いて2パットのパーを拾うのがセオリーです。しかし、ローズ選手は9Iで抑えめに打ってピン右1mにつけてバーディ。若手やはじめて優勝争いをする選手では、崩れてもおかしくない展開でした。実はローズ選手は7番を前に、「ここからもう一度リセットする」とそれまでの自らのスコアカードに線を引き、冷静さを保ったといいます。流れを自ら呼び戻しました。

そしてスコット選手も久々に優勝争いを演じました。16年のアンカリング規制後、パットに苦悩。ここ数年様々なパターをテストするなど試行錯誤しましたが、19年の規則改訂で、グリーン上で旗竿を挿したままパターを打つことが可能になりました。スコット選手は4日間、ほとんど旗竿を抜かずにパット。パターの握り方も変え、大会4日間のパット貢献度は全体14位になる「+3.594」(合計)でした。まだ1試合ですが、グリーン上で自信を取り戻せれば、今後も上位に来る可能性は極めて高いはずです。

また、松山選手にも復調気配が漂いました。3日目にスコアを落とし優勝には届きませんでしたが、最終日は1ホール以外でパーオンするなど、ショットのスタッツは軒並み上位。久しぶりの優勝争いの緊張状態でこれだけ高い数値を出すことは、間違いなく彼の実力です。良い感触を持って2季ぶりの大会優勝を目指す今週の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」に入れると思います。

さらにはタイガー・ウッズ選手が最終日に「67」を出すなど状態の良さも見られました。ローズ選手の強さを再認識した裏で、大物たちの活躍がありました。今年も米ツアーは必ず盛り上がる。そう思えた1週間になりました。(解説・佐藤信人

2019年 ファーマーズインシュランスオープン