6年ぶりの緊張感が喜びに 佐藤信人の願いは「若い子たちにも試合を」
◇国内シニア◇ISPS HANDA コロナに喝!! シニアトーナメント 初日(30日)◇朝霧CC (静岡)◇シニア6788yd、スーパーシニア6060yd(いずれもパー72)
今年3月に50歳を迎えた佐藤信人がシニアデビューを果たし、6年ぶりに選手として復活した。「競技者としては6年前に自分の中では引退、というか辞めた」。2014年の下部ツアー「太平洋クラブチャレンジトーナメント」を最後に、ゴルフ中継の解説やラウンドリポーターとして活躍の幅を広げてきた。
2バーディ、1ダブルボギーの「72」でイーブンパー32位。「解説していると、競技者の感覚を忘れがち。久しぶりに競技者の感覚が『ワー』と入ってきた」とスイッチが切り替わった。「一日中手首がロックされていた」と思うようなスイングができなくても、そのもどかしさすら新鮮な刺激になった。「レギュラーの時はすぐ怒りに変わっちゃうけど、いまはそれを受け入れて大人になったというか、シニアの雰囲気は楽しいです」と笑顔を見せた。
再びツアーで戦える充実感に浸ってばかりもいられない。2018年末からは国内男子ツアーを主管する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の広報担当理事も務める。
新型コロナウイルスの感染拡大で前例のないシーズン。6月に女子ツアーが先陣を切り、シニアツアーもスタート。この日は国内のツアートーナメントで今季初めてギャラリーも入った。そんな中で男子ツアーは国内開幕の道筋が見えないままだ。
自らプレーし、開催できるという実感はある。その上で「(屋外スポーツなので)みんなの常識でやれば、きっと安全に試合できるのではないかと思うだろうけど、公に試合をやるとなると、やっぱり対策をしてリスクを最小限にしないといけない。そこに必ずお金も掛かる。十分観戦できると思うけど、ギャラリーが集まることで宿泊先がどうなるんだ、とかいろいろ問題が出てくると思う」と現実に目を向けた。
今季の賞金シード選手65人のうち外国籍が31人を占め、入国制限と切っても切り離せない事情もある。
「リスクを考えると尻込みしてしまうというか、どうしても前に踏み出せないということも分かります。選手サイドとしては、それでも前に進もうとしてくれる主催者は本当にありがたい。レギュラーの若い子たちにも試合をさせてあげたい」。選手として、理事として、試合の意味を二重にかみ締めた。 (静岡県富士宮市/石井操)