「もう少し」が継続の秘訣 李知姫が“40代”初優勝
◇国内女子◇KKT杯バンテリンレディスオープン 最終日(21日)◇熊本空港CC(熊本県)◇6428yd(パー72)
最終18番(パー5)できっちりとバーディを奪う勝ちっぷりは、さすがのツアー通算23勝目だ。今年2月に40歳になったばかりの李知姫(韓国)が、「69」とスコアを伸ばして通算8アンダーとし、後続を1打差で振り切った。
首位と1打差でスタートした最終日。過去2勝を挙げている得意コースで、李は「このコースは我慢が大事」と自らに言い聞かせていた。「後半はあまりショットが良くなくて…」と耐えて拾って、最後にきっちりバーディで勝負を決めた。
優勝争いの最中、ラウンドレポーターをしていた古閑美保の姿が目に入った。かつては賞金女王を争ったライバルだが、年は李より若い36歳。古閑は2011年29歳で現役を引退した。「なんで(古閑)美保ちゃんがレポーターで、私は選手をやっているんだろう?」。ふと年齢のことが頭をよぎったという。「自分が40歳になったときは本当にびっくりした。去年もあまり良くなかったし、40代で優勝できるかなって考えたけど…優勝できてよかったです」と、40代での初優勝に頬を緩めた。
意外に思うかもしれないが、ツアー23勝を挙げていても、いまだ賞金女王のタイトルには届いていない。賞金ランキング2位は3回(2003、08、11年)ある。しかし、それこそが李がここまで続けられている要因だという。
「私のゴルフはいけそうでいけないことが多い。賞金女王にもなれそうでなれなかったし、2位も多い。もう少し上に行きたいという思いが強くて、それがすごくモチベーションになっている。もし、パッと上がっていたら、そういう気持ちにはならなかったかも知れないですね」。
この優勝で、永久シード獲得(30勝)まであと7勝。「8よりは7の方が近いけど…」と笑ったが、そのことも頭の片隅にないわけではない。「でも、最近はレベルも上がってきているし、そのためには年間3、4勝はしないと難しいから」。付け加えれば、生涯獲得賞金は現在2位(約11億8020万円)。1位の不動裕理には、あと1.8億円差に迫っている。
「30代後半になると飛ばないと思っていたけど、意外と飛ぶんだなと思いました。(41歳の大山)志保ちゃんとかを見ていても、ぜんぜんいけるじゃんと思うし…」。優勝を争った吉本ひかるは李の半分の20歳。ピンを攻める若さには刺激を受けるが、40代でも十分に戦えることは歴然だ。(熊本県菊陽町/今岡涼太)