2019年 ヤマハレディース葛城

逆転の成田美寿々「攻めたい気持ち抑え」切り拓いた新境地

2019/04/07 19:08
成田美寿々は手前から攻め続けた

◇国内女子◇ヤマハレディースオープン葛城 最終日(7日)◇葛城ゴルフ倶楽部山名コース(静岡県)◇6564yd(パー72)

我慢比べを制した成田美寿々がツアー通算12勝目を挙げた。4打差3位から「67」で回り、首位アン・ソンジュ(韓国)を通算5アンダーで逆転。「逆転の成田」を見せ、14年ぶりの開幕日本人5連勝に貢献した。

傾斜激しい高速グリーンで、セオリーを遂行した。後半14番、追い風の残り128yd。本来の飛距離より番手を落とす50度のウェッジで、“狙い通り”手前15mにおいた。「上につけると厳しい。短い番手を持った。攻めたいけど、耐えた」と2パットのパー。グリーン奥に落としボギーのアンを交わした。以前は問答無用でピンを狙うような距離でも「大ケガをしないほうに。攻めたい気持ちを抑えたのは、成長」と胸を張った。

終盤17番でアンに並ばれたが、「なんて面白い展開なんだろう」。過去最高40位と苦手コースゆえ冷静だった。これまでは刻むことがあった最終18番(パー5)は「イージーで2打目を狙える」。飛距離アップを目指しトレーニングを積んだオフの成果か、233ydを5Wで2オンし10mを残した。「2パットで良い、と唱えまくった」と2mのウィニングパットを沈めてバーディとし、拳を上げた。

優勝を決め拳を上げた成田美寿々

年間5勝を目標に掲げるのは、2020年東京五輪出場を目指すため。「金メダルを獲りたいと言って出られないのは、恥ずかしい…」。五輪出場には世界ランキングを日本勢2番手以内(前週時点で同6番手の64位)にする必要がある見通しだが、今季は畑岡奈紗(同ランク4位)ら日米ツアーで自らより上位の選手が優勝した。「正直焦りはあった。春先は苦手だけど、私が勝たないといけないのに」。自宅でも両親に発破をかけられた。

8度目の逆転優勝で、30人目になる生涯獲得賞金5億円を突破。6月には海外メジャー「全米女子オープン」(チャールストンCC・サウスカロライナ州)も控える。アンダーパー4人の難コースを制し、「違った成田美寿々が生まれた。耐えるゴルフも、本来の伸ばすゴルフもできるように。4日間堅実にやれたのは、自信」。世界を意識する26歳が、新境地を切り開いた。(静岡県袋井市/林洋平)

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