反骨と個性 アマチュア後藤未有が首位争いに浮上
◇国内女子メジャー第3戦◇日本女子オープンゴルフ選手権競技 2日目(28日)◇千葉CC野田コース (千葉県)◇6677yd(パー72)
そろいのユニフォームにJAPANの文字を縫い込んだナショナルチームには、入れそうで一度も入ることができなかった。今大会で一昨年は6位に入った西村優菜、昨年は3位の小倉彩愛に押し出され、「この大会は、他の子が活躍してナショナルチームに入れなかった悔しい大会」と後藤未有(沖学園高3年)はいう。「だけど、九州(ゴルフ連盟)の強化合宿でも、コースマッピング(※)やパッティングのドリルは教わっている。精密なスイング分析はできないけど、それ以外の大雑把なことは学んでいる」と胸を張った。
今年は2日目に5アンダー「67」をマークして、通算6アンダーで堂々上位につけている。「だから、今年は自分が活躍したいです。もう、ナショナルチームには入れないけど」とケロリと笑った。
ゴルフを始めたきっかけは、3歳のときに小児ぜんそくで入院中に見た三菱電機のルームエアコン「ムーブアイ」のCMだ。「この子はなにをやっている人?」とテレビ画面の宮里藍を見て、ゴルフを知った。「走るのが好きなやんちゃな子だった」という少女時代も、ぜんそくのためにできることは限られていた。「唯一できるのがゴルフだった」。
ベースボールグリップで、オレンジ色のカラーボールを使う個性派だ。「めっちゃ負けず嫌い」という一面も否定しない。この日はティショットをバンカーに入れた前半3番(パー5)で、難しいラフからの4打目を1.5mにつけたが、これを外してボギーとした。「ムカつきました。次にバーディを獲ってやろうと思いました」と、続く4番は言葉通りのバーディとした。
13番でも「一歩の距離」というバーディチャンスをラインの読みを迷って外すと、「すごいムカつきました」と、直後の14、15番の連続バーディで憂さを晴らした。「切り替えは早いので、次のホールでは『ま、いっか』って思っているんですけどね」と照れ笑いした。
「簡単に落とさないしぶといゴルフと、攻めのゴルフの使い分け」が持ち味と自己分析する。大会のローアマチュアとなれば、最終プロテストから受験できるが、ローアマどころか、優勝も狙える位置で週末へと突入する。
「(2016年の畑岡)奈紗さんの優勝もテレビで観ていた。あの最後のバーディパットを自分が打てるかと考えたら、手が震えて打てないと思った。いまでもあの場面で、あのパットを打てるほど強くはない。でも、強くないことを認めつつ、優勝争いをして勝てたら最高」と覚悟を決めた。あすは18歳の誕生日。ナショナルオープンの舞台で、1歳大人になる特別な日だ。(千葉県野田市/今岡涼太)
※ヤーデージブックに行ってはいけない個所を書き込んだり、グリーン上の傾斜をメモしたりしていく作業。