スーパーショットで逆転 日韓両エースを飲み込んだ申ジエの経験値
◇国内女子メジャー◇ワールドレディスサロンパスカップ 最終日(6日)◇茨城GC西コース(茨城県)◇6715yd(パー72)
日韓賞金女王対決に割って入ったのは元世界ランク1位だった。申ジエ(韓国)は首位と4打差の2位タイから「70」で回り通算3アンダー逆転優勝。21歳のイ・ジョンウン6(韓国)、23歳の鈴木愛との最終組では、一歩後方から虎視眈々と狙いを定めていた。
「午後は風も強いしこのコースで逃げ切りは難しい。自分が3アンダーを出せば心理的にも難しくなる。イ選手とは初めての同組で、わたしを意識して緊張しているのかなというのも頭の片隅にはあった」。
1打差2位で迎えた終盤17番(パー5)の残り244ydの2打目。フォローの風に乗せ3Wを振ると「花道から転がれば」という言葉通りグリーン手前から転がってピンへ。カップ手前でフックラインに邪魔され“アルバトロス”にはならなかったが、左1mに止まった。「のぼりのスライス。これを決めないと今後こういう場面になったときに乗り切れないと思って覚悟をもって打った」と沈めて首位に浮上し、優勝をたぐり寄せた。
先月の28日に30歳になった。4月「KKT杯バンテリンレディス」で足を痛め、その後の2試合を欠場。今大会前は胃痛でプロアマの前夜祭を欠席し「体を大事にしなきゃいけなくなった。体力作りもやっていかないといけない」と引き締めた。
今年の2月にオーストラリアで開催された欧州ツアーを制し世界主要ツアーで節目の通算50勝目を挙げた。07年には韓国ツアーで年間10勝、09年には米ツアーで賞金女王に輝いた。世界を渡り歩き活躍し続ける申は「いま大事なことは勝利数ではない。日本のファンに約束した賞金女王になることを叶えなきゃいけない。きょうはそのための1勝です」。
今季初優勝で賞金ランクは3位。「わたしの賞金女王を待ってくれている方の力をあわせた結果が今回の優勝につながった。後輩の前で強い先輩でいたかったし、憧れでいたかった」。日韓の両エースを技術と経験力で飲み込み、大会最大差となる逆転劇を演じた。(茨城県つくばみらい市/林洋平)