お茶で一服 福田真未が耐えてつかんだ初優勝
◇国内女子◇伊藤園レディス 最終日(12日)◇グレートアイランド倶楽部(千葉)◇6741yd(パー72)
波瀾万丈の18ホールは、自分を信じることで乗り越えた。最大6打に開いた2位との差は、最終的に1打まで詰め寄られた。単独首位から出た福田真未は上がり3ホールをパーでこらえて、3バーディ、3ボギーの「72」で逃げ切り優勝。「すごく1日を長く感じた」と、大きな瞳を感涙で潤ませた。
秋晴れのもと、4打差首位で出た最終日。12番までに3バーディを奪った福田は、後続を突き放す1人旅。だが、残り6ホールから試練は始まった。
13番(パー5)で奧から3パットを喫して、この日初のボギー。14番は2打目を左に引っ掛けてバンカーにつかまり、連続ボギーとした。15番(パー5)も、3Wで放った2打目が大きく左に巻き、3連続ボギー。一方、一組前で回るアン・ソンジュ(韓国)は15番、16番と連続バーディを奪取。その差は、わずか1打となった。
福田の表情からは笑みが消え、こわばったように生気を失った。だが、心の中で戦っていた。「前と同じことは繰り返したくない。冷静に、慎重にやるしかない」と自分に言い聞かせながら――。
グリーン左に池が広がる17番(パー3)。福田はハウスキャディの三枝久美子さん(26歳)に「真ん中でいいよね?」と確認した。池を避け、安全にグリーンに載せる作戦だ。それには成功したものの、長いファーストパットはカップを4mオーバーした。「1打差だったし、このパットは鍵になると思っていた」という勝負のセカンドパット。これをねじ込み、右拳を2度振るガッツポーズを見せた。「まだ行ける」と気持ちを鼓舞した。
最終18番も、池が迫る左サイドに切られたピンを避け、グリーンセンターへと載せた。「ちょっと池を逃げ過ぎた」と苦笑い。ファーストパットを1mショートすると、キャディが福田に手渡したのは、緑のペットボトルに入った伊藤園の『おーいお茶』。大会主催者の飲料をごくりと口に含んだ福田は、「微妙に長く感じた距離」というパットを真ん中からカップに沈めた。
昨年の「ヨコハマタイヤPRGRレディス」最終日には、首位に並んで迎えた最終ホールで、「急に緊張してしまった」とダブルボギーで初優勝のチャンスをふいにした。だが、そんな悔しさが糧となって福田を支えた。冷静さを保てた要因は「いままでの数々の試合の経験。緊張した場面のミスとか」と自認する。ついに果たしたブレークスルー。「信じられないという気持ちでいっぱい」と、その瞬間を振り返った。(千葉県長南町/今岡涼太)