とにかく食べて強くなる! 申ジエ直伝・食のススメ
◇国内女子◇樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日(30日)◇武蔵丘GC(埼玉)◇6580yd(パー72)
申ジエ(韓国)が通算9アンダーで今季3勝目を挙げた。2打差の4位から出ると1イーグル、4バーディ「66」で逆転した。6月「ニチレイレディス」以来のタイトルで、賞金ランクは3位から2位に浮上。同ランク1位のイ・ボミ(韓国)との差を2545万665円に縮めた。残り4戦は高額賞金大会が続くだけに、「最後に笑った人の勝ち」と逆転女王を虎視眈々と狙う。
首位タイで迎えた16番で5mのバーディパットを決めると、しゃがみこんでガッツポーズを繰り返した。硬くて速いグリーンに多くの選手が苦しむ中で、「こういうグリーンのほうが好き。難しいと、燃えるんです」とサラリと言う。最終組の2組前から追い上げたこの日。優勝を争った最終組の李知姫(韓国)の18番を見終えると、秋風に吹かれながら充実の表情を浮かべた。
日本ツアーに本格参戦して3シーズン目。2014年に4勝、15年に3勝を挙げた。毎年のように複数回優勝する強さが際立つが、かつて世界ランク1位にのぼりつめた実力者も、今年の4月で28歳。毎週のように転戦が続く生活に、疲労がないといえば嘘になる。女子ゴルフ界では中堅からベテランの域に差し掛かり「わたしも若くないですよ」と苦笑い。それだけに、自らの体調管理を徹底しているという。
今シーズンは、試合を欠場して回復や身体づくりを優先したことがあった。8月「meijiカップ」を終えると、3週間ほど韓国で休養した。さらに「日本女子オープン」を終えて、10日ほどをトレーニングにあてた。ライバルたちはその間も賞金を加算するが、「賞金女王を狙う長いシーズンで、間を取るのは大事。実際に休んだあとの試合では良いプレーが出来ている」。申は、余裕たっぷりで言い切った。
さらに体調管理で重要な食事にも、強いこだわりがある。その一つが、「朝ごはんに時間をかける」こと。日本食を好み、米、納豆、味噌汁、目玉焼きを45分かけて味わう。さらに「量を食べるのが重要」と力説する。「何を食べるかも大事だけど、とにかく量をたくさん食べないといけない。今の若い選手は美容のために量を減らしたりするけど、シーズンを戦う上で必要な体力源です」。
ちなみに、食べる量にノルマなどは設けていないが、「周りの人から『そんなに食べてるの?』と驚かれる」という。すべては日本ツアーで初の賞金女王を獲るために。申にとって食欲の秋は、ラストスパートにつなげるための実りの季節でもある。(埼玉県飯能市/林洋平)