李知姫が今季2勝目 賞金女王に「来年もう一回挑戦したい」
北風がコース内の木々を強く揺らした「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」最終日。厳しいピンポジションと相まって、この日アンダーパーをマークした選手は55人中わずかに5人だけ。平均ストローク「75.2545」という過酷な条件の中、単独首位から出た李知姫(韓国)が3バーディ、3ボギーのパープレーで回ってアン・ソンジュ(韓国)を1打差で振り切って今季2勝目、ツアー通算19勝目を達成した。
「最後まで自分のプレーに集中できた」。最終組でホステスプロのイ・ボミ(韓国)と同組になることが決まってから、この日の状況は予測できた。多くのギャラリーがイを応援し、李にとってはアウェーとなる。「私もツアーに14年。そういう場面がすごく多かったし、鍛えられた。アウェーになっても自分のゴルフをするというのは、アプローチや、ドローを打つ、フェードを打つとか、そういうのと同じゴルフの技術の1つ」だと、36歳のベテランは経験から学んできた。
4番(パー3)で8Iを1mにつけてバーディを先行させた。7番をボギーとしたが、折り返した10番では13mのバーディパットをねじ込んだ。同組のイは「あれが入って、今日はオンニ(韓国語で“お姉さん”)が勝つと思った」と振り返ったが、当の李がウィニングショットに挙げたのは5ホールあとの15番(パー5)でのバーディパット。3mのパットをカップに沈めて通算11アンダーとし、「優勝できる」と確信したと言う。
過去、賞金ランキング2位が3回(03、08、11年)。女王のタイトルに手が届きそうで届かない。今季は第2戦「ヨコハマタイヤPRGRレディスカップ」で幸先良く優勝を果たし、「女王を目指していたけど、夏場に優勝できなかったので残念」と悔しがった。「でも、来年もう一回挑戦したい」。まだ、意欲は衰えていない。
李の気分転換は、35歳以上のツアーメンバーが参加資格を持つ通称“おババ会”なる集まりだ。斉藤裕子、鬼沢信子、表純子、茂木宏美らを中心に集まって、親睦を深め合う。親睦だけでなく、ともに戦う結束も深め合う。「私も、ボミちゃんみたいに韓国の後輩がたくさんいて、みんな“オンニ、オンニ”って言ってくれるけど、その会はお姉さんばかり。雰囲気が違って楽しいし、純子さんとか、鬼沢さんが“私たちがいるから、全然大丈夫”と引っ張ってくれる」と、つかの間の若者気分を味わえるのだ。
「この調子を続けて、『TOTOジャパンクラシック』も勝ちたいし、最終戦のメジャー(『LPGAツアー選手権リコーカップ』)にも勝ちたい」と夢は膨らむ。これらの大会に向けて、似たコースで練習するようになったという。「(最終戦の)宮崎CCは高麗だし、バンカーの砂も違う。芝もティフトンが混じっている。休みの週にそういうコースで練習します」と、シーズンのマネジメントもベテランらしく的確だ。(兵庫県三木市/今岡涼太)