宮城に恩返しを 大山志保が圧巻イーグルで首位浮上
宮城県で開催されている「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」の2日目。首位と5打差の18位から出た大山志保が1イーグル、8バーディ、1ボギー、トーナメントコースレコードを1打塗り替える「63」とし、通算9アンダーの首位タイに浮上した。今年6月「ヨネックスレディス」の再現かのように、首位で並ぶ表純子と最終日最終組で激突する。
雨脚が弱まりかけた第10組からスタートした大山は、立ち上がりの1番から4連続、さらに6番から2連続バーディを奪う攻勢で首位を猛追する。8番(パー5)では「気持ちが緩んだ」と3パットのボギーとしたが、この日の見せ場は14番(パー5)で待っていた。左セミラフから残り121ydの3打目を直接カップインさせてイーグル。ノーバウンドでカップに飛び込んだボールが高音を響かせると、一瞬の沈黙の後、ギャラリーの歓声が沸き上がった。
「まっすぐにピンを差すショットだった。いいラインで飛んで、カーンって音がしたので跳ねたかなと思ったけど、そのあとすぐにギャラリーの『入った!』という声が聞こえた」。ギャラリーの声援にも後押しされ、大きなガッツポーズを作って喜びを爆発させた。
「仙台は多くの人が応援してくれて、とても支えになっている。だから恩返ししたい」。ここ宮城県は知人やファンが多いこともあり、大山にとって、今年1勝を飾った新潟(ヨネックスレディス)に続いて思い入れの深い土地だという。2011年の東日本大震災以降は、毎年、獲得した賞金の一部を植樹などさまざまな形に変えて寄付している。
「宮城県の方々の笑顔が早く戻ってくれると嬉しい」。大山は2009年、左ひじ関節内じん帯の出術を受けるなど、ケガに苦しむ経験をした。その時に支えてくれたのが、宮城県をはじめとする、日本各地に点在する多くのファンたちの存在だった。「苦しい時はお互いさま。自分ができることは微々たることだけど、少しずつ積み重ねていければ」。
常に目標高く、自分自身にストイックな大山だが、ここ1カ月間、はじめて「アップアップ」の限界を感じたと言う。「ゴルフもしたくない、トレーニングもしたくない」。さらには目標と公言してきたオリンピック出場さえも「考えられなくなった」こともあったそうだ。その原因は本人にも分からない。ただ、今週仙台に入り、ファンから多くの激励を受けて、低空飛行を続けていた気持ちは再び上昇気流に乗り、「ゴルフがしたい」と思えるようになった。
「あしたは笑顔で終わりたい」。たくさんの地元ファンが待ち望む力強いガッツポーズが、あすはいくつ見られる?(宮城県利府町/糸井順子)