満を持して?の初優勝 キム・ハヌルの笑顔を見ましたか
母国で多くのファンを魅了してきた“スマイルクイーン”が、日本でもその笑顔を咲かせた。首位タイからスタートした「マンシングウェアレディース東海クラシック」最終日を5バーディ、1ボギー「68」でプレー。混戦を1打差で制する通算12アンダーで日本ツアー初優勝を飾った。
韓国ツアーでは2011年、12年と2年連続で賞金女王を戴冠。日本ツアーに数試合スポット参戦したことが契機となり、14年末に初受験した国内ファイナルQT(13位通過)を経て、鳴り物入りで乗り込んだ。
シーズン開幕から19試合目で手にした初優勝。「早かったと思う」としながらも、苦しみも経験したこの7カ月間だった。5位に入った前週の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」が初めてのトップ10。今週を前にした賞金ランクは46位と来季シード(同50位以上)も確定できず、「自分への期待もあったし、日本は合わないのかな」という弱気ものぞきかけていたという。そんな矢先、待望の初勝利となった。
韓国ツアー当時からずっと帯同を続けていた両親に、初めての“独り立ち”を告げたのは2週間前のこと。「成績が悪くなると、どうしても親を頼ることが多すぎた。1人でやってみて、頑張る姿を見せたかった」と決意した。
この日は1打差で追う15番(パー5)で1m、首位に並んだ16番(パー3)で8mを決めて連続バーディ。終盤の混戦から一気に抜け出す力は、精神的な強さもうかがわせた。
賞金レースを独走するイ・ボミとは同じ1988年生まれで、ともに建国大を卒業した同窓生。韓国の互いの自宅も、車で15分ほどの距離にあるという。イは2010年の韓国ツアーの賞金女王を経て、翌年から日本ツアーに本格参戦した。海を渡り異国で再び相見える、良き“先輩”でもあり良き友でもあるライバルについて、キムは「多くのファンがいるし、すごく活躍できていると感じた。学ぶことも多いです」と評した。
「まずは日本に慣れて、友達を作りたい」と明確な目標は見えていないが、「日本ツアーに定着したい」と、これからの主戦場は心に決めている。今週の優勝で注目度も大きくアップし、日本のファンも急ピッチで増えそうだ。(愛知県美浜町/塚田達也)