“勝ち”へのこだわり 原江里菜が世界ランク1位を撃破
愛知県の三好CC西コースで開催された「日韓女子プロゴルフ対抗戦」の最終日。昨日の降雪から一転、好天に恵まれたこの日は、シングル戦12試合が行われた。7勝3敗2分けと勝ち越した韓国が合計ポイントを25対11とする圧勝。日本は、アウェーチームに大会3連覇を許した。
この日、日本が3勝を挙げた中で“大金星”を飾ったのは、世界ランク1位の朴仁妃を破った原江里菜だ。朴は出だしからボギーが先行し、後半もダブルボギーを含む3オーバーでホールアウト。対して原は2バーディの「70」と堅実にスコアを伸ばし、「強豪相手にボギーを打たなかたったこと」をいちばんの勝因に挙げた。
上田桃子と組んだ初日のダブルス戦では、朴仁妃、リュー・ソヨンの強豪ペアを相手にドローとした。「昨日一緒にまわって、調子が悪そうだったからチャンスはあると思っていた」と序盤から攻勢に出たという。
5番ではピン左手前4mのチャンスをきっちり沈めて最初のバーディ。7番で5mのパーパットを残すピンチを迎えるが、「隙を見せたらつけこまれる」と、強い気持ちでねじ込む渾身のパーセーブで流れをキープした。
世界1位も、調子が悪いからといって負けてはいない。「それは寄せられないだろう、と思うアプローチを寄せてパーセーブしてくる」粘り強さは、世界の頂点に君臨する女王の技。世界を相手に戦う環境、そして(朴が踏んだ)場数から得た“勝敗への強いこだわり”と原は表現する。「人のプレーを見て動じることのない、一打にかける集中力は相当なもの」と舌を巻いた。
「力の差は否定できない。相手を見ながらプレーしているからこそ、自分がボギーを打たなかったから逃げ切れた。名前に負けて、“負けてもともと”になっちゃダメ。少なくとも“勝ち”への意識は高く持っていないと」。この勝利のインパクトもあり、原は大会取材に来場したメディア投票による敢闘賞を受賞した。
今年1年間、レギュラーツアーで予選落ちなしの好成績が、大きな自信につながっている。「達成感だけではない、向上心が備わった1年だった。底力も上がってきたし、勢いだけではない自分を見せたい」。2015年の開幕戦に向けた原のシーズンは、今季閉幕と同時に幕を開けた。(愛知県みよし市/糸井順子)