「賞金女王になりたい」 鈴木愛が描くビッグな青写真
プロ2年目の20歳が、ツアー最高峰のメジャー「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」最終日に新たな歴史を刻んだ。単独首位からスタートした鈴木愛が5バーディ、4ボギー「71」でプレーし、通算5アンダーで1打差のリードを守りきってツアー初優勝。20歳と128日での選手権制覇は、宮里藍が2006年大会で打ち立てた大会最年少優勝記録(21歳と83日)を更新する快挙となった。
このほか、今大会の優勝で鈴木が残した主な記録は以下の通りだ。
・1988年のツアー制度施行後において、今大会初出場者の優勝は初めて
・宮里藍(20歳105日/2005年 日本女子オープン)に次ぐ3番目のメジャー年少優勝
・メジャーで初優勝を飾るのは国内女子ツアー史上8人目
「私が最年少か…という気持ち。すごくビックリです」。憧れの人を超えたという実感は、優勝会見の席に就いてもなかなか沸いてこない。しかし、そのプレーぶりは今年の女子プロゴルファーの頂点を決める勝者にふさわしい、堂々たるものだった。
「朝ゴハンが喉を通らなかったのは初めてだった」という不安と緊張は、序盤の好スタートで一気に解けた。1番(パー5)でバーディを先行させると、3日目に連続ダブルボギーを叩く入り口となった2番では、グリーン手前のカラーから20ヤードをパターで沈めて連続バーディ。スタート時の1打差リードをキープして、最後の関門サンデーバックナインに入った。
優勝を決定づけたのは、1打差リードの通算5アンダーで迎えた終盤17番だ。フェアウェイからの2打目を手前3メートルにつけて7番ホール以降遠ざかっていた久々のバーディチャンス。「ここを決めればラクにいける。絶対に入れようと思った」。これを決めてリードを2打差に広げ、力強く右手を握った。「普段はあまりしない」と口にしながら、今週は何度も見せていたガッツポーズ。その中でも最も大きかったアクションは、勝利への気迫にほかならなかった。
「今日は運が良かったし、まだそこまでの実力に達していない。どっちかというと(今後の)プレッシャーになると思うので、これから練習して、皆さんにトッププロと言われるようになりたい」。快挙を遂げたばかりの20歳は、ビッグタイトルの重みを謙虚に受け止めていた。
将来は米国ツアーへの参戦を見据えるが、まずは国内ツアーでじっくりと己を磨き、世界へ羽ばたく準備を整える。「日本で賞金女王になりたい」。壮大に描く青写真は、ニューヒロインの無限大の可能性を感じさせた。(兵庫県三木市/塚田達也)