メンタル強化も結実 森田理香子が感じた“女王”の重み
通算3オーバーの11位タイで「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」最終日を迎えた賞金トップの森田理香子は、1バーディ2ボギーと1つ落とし、通算4オーバーの12位に後退してホールアウト。約281万円差を追う賞金2位の横峯さくらにまくられ、約130万円差で辛くも逃げ切り初の賞金女王戴冠を決めた。
日本人としては4年ぶり。23歳327日での達成は、2009年の横峯さくら(23歳351日)を抜いて歴代4番目の年少記録となる。
「疲れました…。でも、すごく嬉しいです」。苦しみながらも先頭でゴールテープを切った若き新女王が安堵の笑みを浮かべた。この日は序盤から、アイアンの縦の距離感に苦しみ、「いいショットを打っても(グリーンの)奥に消えてしまう。アドレナリンのせいかな・・・」と疑心暗鬼が首をもたげる中でのプレーになった。
序盤2番(パー5)では、ピン奥10メートル以上のバーディトライから3パットボギー。その後もグリーン奥からのアプローチでしのぐ場面が目立ち、気づけばスタート時に2打リードしていた横峯を追う立場に。15番ではグリーン奥のカラーから“3パット”のボギーを叩き、自ら最後まで予断を許さない展開を招いてしまった。
そんな状況でも、時おりキャディとかわす会話などで、最後まで絶やすことのなかった笑顔は印象的だった。「私って、悪い時にふくれちゃうって、ずっと言われているんです。怒ってもしょうがないし、元に戻るわけじゃない。そう言われて勉強をして、怒りを忘れることが大事だと分かってきた」。
師事する岡本綾子にも、「いろいろと相談させてもらっている」という、気持ちをフラットに保つメンタルの強化が土壇場で奏功した。尊敬してやまない師匠との二人三脚は、注目されがちなスイングの進化もさることながら、精神的な成長にもつながり、今季の飛躍を支えていたようだ。
5月「中京テレビ・ブリヂストンレディス」最終日最終組をともにし、森田との優勝争いに敗れた大山は言う。「ショットは飛ぶし、パットも上手かったけど、それ以上に一番はメンタル。悪いときには表情や態度に出ることもあったけど、今年は前を向いている姿勢だった。メンタルが強くなったことを感じたし、隙がない感じだった」。また、岡本門下で姉弟子にあたる服部真夕も「気持ちの浮き沈みがなくなったと思う。気持ちの面では、すごく強くなった」と口を揃えた。
心身ともに着実に続けてきた成長と自信を、この日の栄冠へと結実させた森田。「今年できたことは、来年もできると思っています。来年も1位を目指すことを目標に頑張りたい」。
戴冠と同時に “女王”という称号の重みも感じ始めている。「まだまだ課題はたくさんある。恥ずかしいプレーはしたくないし、もっと練習と努力をしていきたいです」。新女王は、すっと背筋を伸ばして、そう話した。(宮崎県宮崎市/塚田達也)