穴井詩、“自分を許して”首位発進
北海道苫小牧市にある桂GCで開催されている「ニトリレディス」初日、雨の降りしきる午前中にスタートした穴井詩は、序盤の3番(パー5)で残り80ヤードを58度のウェッジで打つと、カップの5ヤード先に落ちてバックスピンで戻ってそのままカップイン。部門別ランキングでもはや影をも踏ませぬ今季7つめのイーグル奪取に「完璧でした」と目を細めた。
ツアー初優勝を目指す穴井には、昨年の「富士通レディス」で2位に3打差をつけたトップで最終日を迎えながら、「74」と崩れて逆転負けを喫した苦い経験がある。課題としているのはメンタル面。そのため、最近は試合終盤にクッキーなどの“おやつ”を食べてリラックス効果を狙うなど、密かな工夫を続けている。
今週は「良いショットを打ったとき、自分を褒めるようにしています」と、ポジティブ思考も取り入れた。これまでは「今のは良かったけど、もうちょっとこう出来たんじゃないかな」と自分に厳しく接してきたというが、「もう少し、自分を許してあげようと思った」と改心。ノーボギーの「66」で回って2年連続単独首位で終えた初日を、「今日褒めたのは3回です」と、明るい笑顔で振り返った。
フル参戦3年目となりツアーにも慣れたもの。会見で昨年からの成長を問われると、「あまり違いを感じられていないので、いかがなものかと…」と記者たちの笑いを誘い、仲の良い成田美寿々の活躍には「私が勝ったら泣いてくれるというので、泣かせたいです」と啖呵を切った。
とはいえ、組み替えの無い明日のペアリングはやっぱり「(成績順だと)気負うかなと思うので…、ありがたいですね」と本音もちらり。湿った洋芝コースで穴井の飛距離は大きなアドバンテージ。ツアー初優勝へ向けて戦わなければならない相手は、自身の内側にいるようだ。(北海道苫小牧市/今岡涼太)