最後のコース冠水から1カ月 「初めて」の大規模水害から開催に至るまで
◇国内女子◇富士通レディース 事前(14日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉)◇6717yd(パー72)
「こんなことは初めてでした」。約30年前からコースに携わるグリーンキーパーの西川誠さんは、一夜にして変わり果てた風景を前にがく然とした。8月中旬、千葉市緑区にある当地も大きな被害を受けた記録的豪雨。コース内の一部が冠水する甚大なダメージと、周辺道路の通行止めも相まって計4日間のクローズ(2日間の定休日を挟む)を強いられた。
12番、13番(パー3)、14番の3ホールを囲む池から水があふれ出し、13番グリーンは半分が浸かった。同じく冠水した1番フェアウェイの一部には、いまも修理地エリアの白線が引かれている。バンカーもすべて「上の砂が、みんな下の方に寄ってしまった」状態だった。
追い打ちをかけるように、9月にも大雨、台風と2度の水害に見舞われた。台風25号が襲来した下旬には、大会で使用する西コースが再び冠水してクローズに。加えて、連日の日照不足により芝の回復もままならない。開幕までわずか1カ月弱。「正直、間に合うのかな? と思いました」と、不吉なイメージが脳裏をよぎった。
コース関係者のほか協力会社にも助けを仰ぎ、急ピッチでの復旧作業が続いた。まずは既存のドレン管を通して池の水位を減らし、水のひいた地面から清掃と薬品の散布。唯一、水につかった13番グリーンにも薬品を投与し、早期の回復に努めた。そして、日本女子プロゴルフ協会からトーナメント開催コースとしての“お墨付き”を得るに至る。
「あのあと、雨が降らなかったことで救われた」と西川さんは言う。懸命の作業と天候回復への願いが通じ、例年と近いレベルでのコースセッティングに仕上げることができた。それでも西川さんは「自分の中では満足のいっている状態ではないのが正直なところ」と明かす。グリーンの速さはスティンプメーターで11フィートと例年と遜色ないが、コンパクション(硬さ)は理想の数値に達しなかった。芝の色や状態にも不満が残る。
だが、選手側からコースセッティングについて不安視する声はまったく聞こえてこない。8年連続の出場でコースを熟知する古江彩佳も「被害があった中で、本当にいい状態になっていると思う」と口にした。2カ月前の豪雨から、男女を通じて初めてとなる千葉県でのツアー開催。多くのスタッフの努力と熱意によって、ことしも無事に大会の幕が明けた。(千葉市緑区/塚田達也)