カメラもゴルフも「諦めない」 “フォトゴルファー”阿部未悠のこだわり
4月の国内女子ツアー「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン2024」の熱戦を写真で振り返る「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン写真展~ワクワク、感動、みんなの笑顔。~」が、東京・港区の富士フイルムスクエアで開催された。展覧会には、同大会でツアー初優勝を挙げ、カメラ・写真撮影が趣味の阿部未悠も8作品を展示。最終日の25日にはドレスで着飾ったサプライズで登壇し、イベントに花を添えた。
女子プロゴルファーがのぞくレンズの向こう側には、どんな世界があるのだろう?
阿部がカメラにはまったのは5年前。19歳の誕生日にカメラ好きの父からキヤノンの一眼レフをもらった。それからは休みがあれば地元・北海道の森を散策し、野生動物や美しい自然風景を撮影。本格的な “映え”のカットは、彼女のインスタグラムで見ることができる。腕前を買われて?昨年は男子ツアー最終戦「日本シリーズJTカップ」にカメラマンとして参加した。
専門的な機材を手にしてからは、気づけば“被写体”を探している。「『なんかいないかな』って、空とか鳥とかをよく見るようになりました。この前は試合中に(夜行性の)ムササビを見つけて! 『うわ~いまカメラがあれば…』って」と笑う。
特に、トラフズクやエゾシカなど、北海道の雄大な自然を舞台に撮る写真が好きだ。「“絶対に撮れる”と限らない。一日中森のなかを探し回って、運良く出会えることもあれば、そうでない日もある。見つけられても、光の当たり方とか、条件がそろわないときれいな写真って撮れないんです。自然が作りだしたシチュエーションを切り取るのが醍醐味ですね」
展覧会に展示した作品も、その時その場で出合った自然の一瞬を写したもの。イチオシの2作品について解説してもらった。
エゾシカ 北海道
「キヤノンのカメラを使って、一昨年7月のオープンウィークに苫小牧の森で撮りました。フクロウとかエゾリスを探していたときに、偶然遭遇。日陰になっていて薄暗かったんですけど、シカがいるところにだけ日光が差し込んでいて、まるでスポットライトが当たったみたいでした。まさに“自然が作りだした偶然”ですね」
阿部はこだわりとして、動物を撮る際は“カメラ目線がほしい”そうだ。「ちゃんとこっち見て!」と念を送る以外に方法はないのだが、不思議と動物のほうから目線をくれることが多いらしい。
夕焼け 新潟
「初優勝の副賞でいただいた富士フイルムのカメラを使って初めて撮影した写真。カメラを受け取って空を見ると、とてもきれいな夕焼けでした。なんだか雲の形も不思議。宿泊していたホテルから急いで外に出て、記念すべき1枚目をカメラに収めました」
優勝の余韻が残るなか、新品のカメラで撮影した一枚は特に思い出深いものになった。
連戦の疲れを癒す“特効薬”にもなっている大好きな趣味。5年も情熱を注ぐと、“本業”にも好影響があった。「一番は最後まで諦めない気持ちですね。初めてシマフクロウを撮ったときは、4時間くらい雪のなかを歩き回って、最後の木で見つけることができました」。初勝利は首位タイから出た最終日、後半14番からの4連続バーディでたぐり寄せた。「好機を察知する集中力と、諦めない気持ち。つながってる…と思いますよ」と笑った。(編集部・合田拓斗)