“アリ事件”に遭遇 上原彩子はケニアで新シーズン始動から沖縄へ
◇国内女子◇ダイキンオーキッドレディス 事前(28日)◇琉球GC(沖縄県)◇6595yd(パー72)
昨季に米ツアーのシード復帰を逃した上原彩子は今年、アフリカ東部のケニアで初戦を迎えた。欧州ツアーの2024年開幕戦「マジカル ケニアレディースオープン」(2月8日~11日)に出場した。
昨年12月に行われた欧州ツアーの予選会(Qスクール)を45位タイで終えて、限定的な出場資格「カテゴリー16」を手にした。
「キリンとかシマウマとか、野生の動物がコースにいました」。ケニアでは週末にスコアを落としたが、11位でフィニッシュした。
「まだどのくらいの試合に出られるか分からないけど、出られる試合にはしっかり出て、リランキングで食い込んでいけるようにしたい。そういう意味では11位で終えられたのは良かった。次につながる、つなげられるスタートを切れたかな」と笑顔になった。
ケニアでは学校に行っている子どもも、行けない子どもも隔てなく走り回る風景に心を打たれた。
「アメリカと雰囲気が断然違う。やっぱり(貧富の)格差を感じるけど、でも子どもたちが生き生きしていてすごく楽しそう。ゴルフをしていないと、こういう環境ってやっぱりなかったと思う。すごく良い経験ができているなと感じます。文化の違いはあるけど、いろんな国に行くことでもっと感じることが増えていく。ゴルフだけじゃなくて、色んな活動に生かせていけたら」
もちろん、出国前はネットで現地の情報を調べて不安はあったという。サポートスタッフを誰ひとりつけず、日本からただ一人。
「でも行ってみるとあっちのツアーはスタッフを含めて選手もすごく優しい人が多くて、すぐに友達もできた。一緒にご飯も食べに行った」と早くも交流を楽しんでいる。
新天地ならではの“事件”はすでに1つある。「ケニアは一応英語が通じるんですけど、2日目に2人の男性が現地の言葉で何か言っていて。“何だろう”と思っていたらキャディさんが『アリ!アリが登ってきている…!』って。服の中にもワーッと入ってきて、もう打てる状況じゃなくて。木の裏に行って脱いで。日本だったらちょっと脱ぐとかできないけど、刺されなかったから良かった」
今後も単身で各国を巡るかどうかはまだ決めていないが、「スケジュールを見たら本当にいろんな国で試合がある。全部に行きたいけど、スペインはご飯がおいしいとか聞くのでぜひ行きたいな。今年はヨーロピアンツアーのフルシードを獲れるように頑張りたい」
地元・沖縄での戦いを終えたら、米下部エプソンツアーの試合にも参戦する予定。40歳で迎える転戦生活は「楽しみ」でしかない。(沖縄県南城市/石井操)