今季ベスト“64”で首位発進 三ヶ島かなが出会った「ヤバイ」パター
◇国内女子◇伊藤園レディスゴルフトーナメント 初日(10日)◇グレートアイランド倶楽部(千葉)◇6741yd(パー72)
1997年と言えば、タイガー・ウッズが後続に12打差をつけて史上最年少で制した「伝説のマスターズ」の年であり、ダイアナ元英皇太子妃の交通事故死に世界が震撼し、山一證券が自主廃業して日本経済が長い下り坂に突入した年でもある。
1996年生まれの三ヶ島かなはそんな1997年に発売された1本のパターを手に、今季の自己ベストタイ「64」をマークして首位発進した。
昨季「1.7884」でツアー14位だった平均パット数(パーオンホール)は、今季「1.8257」で58位と低迷。毎週のように様々なヘッドやネックの形状のパターを頻繁にテストするなどパッティングに頭を抱える中で、9月「日本女子オープン」の週にミズノの担当者から「ヤバイのがあるよ」と“ビンテージ品”とも言えるパターを渡された。
ブレード型で黒いヘッドが特徴的な「ミズノプロ RH-63」。同社と契約を結ぶ佐藤信人らが使用し、人気に火がついたモデルだ。
翌週の「スタンレーレディス」で実戦投入。「めっちゃ良い。真っ黒が好きなのでドンピシャ。(出球は)パンと行くんだけど、優しい(打感)。重い球で、きれいに回転して前に進む」と26年モノの逸品を絶賛した。
心強い味方を携えて臨んだこの日は、スタートの10番で8mを沈めてバーディで滑り出すと、11番も獲って2連続。17番で3m、18番では4mをねじ込み、後半も3バーディを奪ってスコアを伸ばした。9バーディ、1ボギーの「64」は、3月「明治安田生命レディス」の1Rに並ぶ今季ベストタイ。「長いのも入ったし、ショットも気持ち良く打てた。ミスしても気持ちをうまく切り替えられたのが一番良かった」とうなずいた。
今季は左ひざのけがにも苦しみ、現在のメルセデスランキングは67位。来季シードをつかむためにはひとつでも上の順位を目指したい。2021年のメジャー「ツアー選手権リコーカップ」優勝で得た3年シード(優勝から10年以内に行使可能)は持っているが、「本当にダメになった時に備えて温存」と現時点で使うつもりはない。今は予選会(QT)ファイナルステージ(28日~/静岡・葛城GC宇刈C)出場も見据えている。
2位の岩井明愛に1打差をつけての単独首位発進。「(シード獲得には)勝たないとダメですよね。(開幕前は)開き直ってQTの準備しようって感じでしたけど…。失うものはないので、今できることをやっていきたい」。来年の“職場”は自分の力でつかみ取る。(千葉県長南町/内山孝志朗)