渋野日向子の「集大成」 横峯さくら以来10年ぶり逆転女王へ
◇国内女子メジャー第4戦◇LPGAツアー選手権リコーカップ 事前(26日)◇宮崎CC(宮崎県)◇6535yd(パー72)
賞金ランキング3位の渋野日向子が史上初となるラスト2連勝での逆転女王に向けて、宮崎CCで調整を始めた。前週の優勝後はパワースポットで英気を養い、初出場大会の開幕2日前にコース入り。最終戦での逆転女王となれば、2009年の横峯さくら以来10年ぶりになる。
泣いても笑っても、今週で決着する年間39試合のラストゲーム。この日初めてイン9ホールを回り、感触を確かめた。「朝はトレーニングもして、きょうはハーフ。あした18ホール回る」。今大会は珍しくトレーナーを帯同させ、27日のプロアマ戦で調整の仕上げに入る。
前日の25日は、昼までテレビ収録を行った宮崎県のトム・ワトソンGCから車を2時間ほど走らせ、名勝・天然記念物に指定される同県の高千穂峡を訪れた。渓谷内にある落差が約17mの「真名井の滝」付近を、貸しボートで遊覧した。「(高千穂は)3月のアクサの時から行ってみたかった。今回は絶対に行こうと思っていて。滝に打たれないように、頑張ってボートをこぎました。“きよきよ”、なった」。“癒される”といった意味合いの独自の表現を使い、笑わせた。
2週前に一度は終戦宣言をした女王争いは、前週の今季4勝目で望みを復活させた。「支えてくれた周りの方たちに成長した姿を見せる。(女王は)意識しない」と結果に対して無欲を貫いた末に、「大王製紙エリエールレディス」で賞金ランクトップを走る鈴木愛との激闘を制した。
ランク3位から逆転する最低条件は、単独2位以上。優勝しても、ランク1位の鈴木が2位に入れば、史上最年少の戴冠を逃す。「(前週の優勝で)望みはつなげたかもしれないけど、あんまり考えないようにしている、かな」と、高まる周囲への期待とは異なるトーンで述べつつも、「最終戦だから、本当に最後の一年の集大成を見せられれば」と表情を引き締めた。
「AIG全英女子オープン」を含めた今年5勝のうち、4勝が4日間大会で挙げたもの。奇跡を起こし続けた21歳は「(ファンのためにプレーするスタンスは)変えずに、いきますよ」と、大一番を前に冷静さを保ち続けている。(宮崎県宮崎市/林洋平)