49歳の“おじさん” 藤田寛之の不安と夢
◇国内メジャー◇日本オープンゴルフ選手権競技 3日目(13日)◇横浜カントリークラブ(神奈川)◇7257yd(パー71)
初日の貯金がそのまま最終日へと持ち越された。6連続バーディを含む7アンダー「64」で第1ラウンドを飛び出した藤田寛之は、2日目、3日目にパープレーの「71」を並べて通算7アンダーのまま、首位と4打差の3位につけた。だが、「自分の中でタイトルどうこうというのは、まったく頭にないですねえ」と、49歳の威勢は上がってこない。
コースに出れば、ショットの不安が頭をもたげる。「プレー中は“なるようになれ”と思ってやっているけど、本人は一か八か。それが良い方向に転がるか、転がらないかの計算ができない」という手探りが続いている。
2012年に賞金王に上り詰めてツアー通算18勝を誇るが、「日本オープン」のタイトルには手が届いていない。それでも「クリアすべき目標が1段ずつある。まずは予選を通って、次はシード権。自分は2段目か3段目にいるところだけど、日本オープンのタイトルは5段くらい上ですから」と自虐的に笑うばかりだ。
「きのうも宮本(勝昌)とご飯を食べながらしゃべって、宮本も『予選通過でドキドキして手が震える』って言って、『わかる、わかる』って傷を舐めあっています。(2週前の)東海クラシックでも、昔はトップ10くらいなら『この野郎』って思っていたのが、久々のトップ10でドキドキしましたから」
リーダーボードの上位に並ぶのはツアー初優勝を目指す若者たちだが、「いまの時代は初優勝だから勝てないという時代ではない。強くて若い子はいるし、エネルギー切れの自分とよい勝負」と、元賞金王におごりはない。
むしろ、そんな若者たちとの戦いを心待ちにするかのようだ。「下手でもなんでも、ここでプレーさせてもらっている以上、チャンスがあるんでしょうからね。オジサンでも夢を見られる位置にいるので必死にやる。あまり考えると寝られなくなりそうなので、考えたくないですけどね」。
最近はリーダーボードに自分の名前を見るだけで、うれしくなるという。サンデーバックナインで優勝争いをするワクワク感は、ベテランの潜在能力を引き出すはずだ。(神奈川県横浜市/今岡涼太)