キレそうでキレない岩田寛「ぼくは幸せ者です」
◇国内男子&アジアンツアー共催◇アジアパシフィック ダイヤモンドカップ 最終日(23日)◇武蔵カントリークラブ・笹井コース(埼玉)◇7060yd(パー71)
首位を4打差で追った岩田寛は「71」でプレーし、通算8アンダーの単独3位になった。粘り強く4日間オーバーパーなしで終えた。1155万円を加算した賞金ランキングは91位から29位(約1654万円)に浮上した。昨年実績でシードを確保できる金額を上回った。
ショットの調子も良く、序盤はスコアを伸ばし優勝した池田勇太との4打差をキープした。「途中はもしかしたらと思ったんですけど」と期待感もあったが、前半8番に短いパーパットを外してボギーをたたいた。「もう厳しいなと思った。4日間パターが悪かった」
「そこからは耐えるのに必死だった」とパーを拾った。1オン可能な後半15番は1Wを握り「良い感じのところにいったと思った」。ただボールは、狭いカート道を跳ねてクリークの中に落ちていった。ドロップ後の3打目を乗せられず、ダブルボギーを喫し「本当にキレそうになった」と一度は怒りの感情が出そうになった。
ただ“キレそう”になったときに「お世話になっている人の顔を思い出すんです」とポツリ。LINEで「キレるなよ」と送ってくれる人たちがいるといい、「ぼくはこの年になっても、何回も人に怒られる。幸せ者です」と言った。
気持ちを切らさず臨んだ最終18番は、2mにつけてバーディ締め。5選手と並ぶ順位から抜け出し、獲得賞金額は跳ね上がった。「最後は良いパットができました。それにビックリしましたね。いつも上にいくときはパターが入る。でも今回は違った。なんか新しい自分を発見できた感じ」と話した。
ミスや理想的なショットを放てずに悩むことも多い。「(この大会が)きっかけにはなると思う。とりあえずキレなかった4日間というのは、覚えていないくらい久々なんですよ。精神的に成長できた一週間」という。その数秒後には「またすぐ元に戻るんで…」とつぶやくように言ったが、「まあ、またあすから頑張ります」と前向きな言葉で締めた。(埼玉県狭山市/林洋平)