19オーバー翌週に20アンダー 秋吉翔太の実りの2週間
◇国内男子◇ダンロップ・スリクソン福島オープン 最終日(24日)◇グランディ那須白河ゴルフクラブ (福島)◇6961yd(パー72)
秋吉翔太が「全米オープン」から帰国直後の試合を鮮やかに制した。12アンダー5位タイから「64」をマークし、通算20アンダーとして後続を1打差で振り切った。プロ初勝利を飾った5月の「ミズノオープン」から、わずか28日で奪ったタイトルに「こんなに早く2勝目ができるとは思っていなかった」と胸を張った。
最終組のひとつ前の組で2打差を追い、4つ伸ばしてハーフターン。6つ目のバーディを奪った12番(パー3)で、トップにいた山岡成稔を捕えた。「リーダーボードがあまりなかったので」と自身のプレーに集中し、さらに14番から2連続バーディ。17番(パー3)ではティショットで豪快にダフリ、思わず「ダメだ」と池ポチャを覚悟したが、ボールはハザードを超えてラフに。幸運を活かし、泥がたっぷりついたボールを寄せ切ってパーを拾うと、18番(パー5)で2オンからバーディフィニッシュを決めた。
前年大会の3日目、ボールの救済措置のトラブルから2罰打を受け、ホールアウト後に首位から6位に後退。最終日も巻き返せず苦い記憶を残したが、その後ツアーに定着した。「この試合がなければ今の僕はない」という大会は、契約する住友ゴム(ダンロップ)の主催試合。ホストプロとして最高の形で役目を果たした。
前週は2日間で通算19オーバー。初めて出場したメジャー「全米オープン」で屈辱的な現実を思い知った。「めった打ちされた。あんなに楽しくないゴルフはなかった。ゴルフ人生でダントツで一番」。とはいえ、ただ、ひれ伏してきたわけではない。ショートゲームの練習場で外国人選手のアプローチに目を凝らし、技を盗もうと必死だった。
「日本ではハンドファーストで打つ人が多いのに、こっちはハンドレイト気味の人が多い…」。帰国してさっそくやってみた。この日の10番、グリーン左からの3打目、ふわりと上げてピンそば1mに寄せてパーセーブ。与えられた時間は短くとも、意識次第で人は格段に成長する。
7月にはメジャー第3戦「全英オープン」(スコットランド・カーヌスティ)に参戦。8月「全米プロ」(ミズーリ州ベルーフCC)への出場(世界ランキング100位以内の選手が出場できるのが慣例)も視界に入ってきた。まずは激動の2週間を経て、北九州の自宅に帰る。悔しさと喜びと。家族へのお土産は山ほどある。(福島県西郷村/桂川洋一)