「下手くそ!」のヤジに負けない 石川遼は4打差で最終日へ
◇国内男子◇中日クラウンズ 3日目(28日)◇名古屋ゴルフクラブ 和合コース(愛知)◇6557yd(パー70)
6アンダー5位タイから出た石川遼は終盤2ホールで連続ボギーをたたき、「69」で通算7アンダーの8位タイに後退した。単独首位の秋吉翔太には4打差。ギャラリーの厳しい野次に負けず、2016年「KBCオーガスタ」以来となる通算15勝目へ逆転を目指す。
3日連続となった小平智とのラウンドで、石川は出だし1番で7mを沈め、2連続バーディで飛び出した。後半11番からはこの日2度の2連続。上位でホールを進めたが、この日も終盤にスコアを落とした。
17番(パー3)で8mのバーディパットが惜しくも外れてガックリ。さらに返しの1.5mも決められない。「ファーストパットが難しくて、入ってくれたら最高だと思っていた。期待しすぎて、入らなかったことで、(気持ちの)切り替えに時間がかかってしまった」。
続く18番は予選2日間でいずれも1Wショットを左サイドのフェアウェイバンカーに入れてダブルボギー。この日のティグラウンドでは、持ち球とは逆のフェードボールを選択し、右ラフから2打目を放ったが、これが右手前のバンカーにはまって3オン2パット。「良いティショットだったが、自分のフェードがかかりすぎてラフまで行ったのか、それとも風で流されたのか分からなかった」。2打目では左から吹いた風を強く警戒できなかった。避けることのできた状況判断のミスを反省した。
今大会の来場者数は連日、前年実績を上回り、この日は1096人増の8928人がコースに詰めかけた。17番で3パットボギーをたたいた石川には、「下手くそ!」と怒号が飛んだ。多くのギャラリーを引き連れる選手の宿命でもあり、そんな声にもめげない。「僕は父親に“下手くそ”と言われて育てられた。“58”を出した時(2010年大会最終日)も、最後のバーディパットをショートさせて『お前、下手だな』と言われた。自分でもそう思う」と笑った。
選手会長という立場からしても、ツアーに対する様々な視点からの意見は大歓迎。「いろんな声をかけてもらえる環境は大事だと思う。選手によっては分からないが、僕はギャラリーには自由に観戦してもらいたい。ゴルフ(観戦)は制限がたくさんあるから」という。残りは18ホール。「差は考えない。和合では何が起こるか分からない」。プロ11年目。厳しい野次が、賞賛に変わるときの快感も知っている。(愛知県東郷町/桂川洋一)