44歳の片山晋呉 イーグル締めで国内最年長のマッチプレー王者に
◇国内男子◇ISPSハンダマッチプレー選手権 3回戦~決勝 最終日(10日)◇浜野ゴルフクラブ(千葉)◇7217yd(パー72)
片山晋呉が14年ぶりにツアー競技に復帰したマッチプレー戦を制した。リュー・ヒョヌ(韓国)との決勝戦は序盤から優勢に進め、1ホールも奪われず3&2。今季初勝利を挙げ、歴代単独5位のツアー通算31勝目。史上最年長で国内マッチプレー大会を制した。
7試合129ホール。フィナーレはスーパーショットで飾った。1Wでフェアウェイをとらえた16番(パー5)で、残り209ydの第2打を5UTでピン右1.5mにつけた。長尺パターでイーグルチャンスをものにして、両手の拳に全身の力を込める。「男と男の魂のぶつかり合いの勝負ができた。44歳になって若い選手と一対一で戦えるのが幸せだった」。グリーン上にひざまずき、拍手の輪の中で笑った。
前週の「フジサンケイクラシック」を制したリューを相手に、作戦は明確だった。準決勝で敗れた高山忠洋に「長いパットがすごく入っていた」と聞き、片山は「2日連続でパットがボコボコ入ることはそうない」と予想。「ボギーでDOWNをしないことを心掛けた」と、5日間で最も速くなったグリーンも警戒して安全運転。6番(パー5)から2ホール続けて1m強のパットを外したリューに対し、片山はファーストパットをきっちり寄せ続け、ストレスを最小限にしてホールを進めた。
44歳7カ月10日での優勝は、1977年に「日本プロゴルフマッチプレー」(1975~2003年)を44歳25日で制した橘田規の記録を更新し、マッチプレー最年長優勝。長いキャリアでも、浜野GCでのプレー経験はなかった。大会を見据え、今年に入って4回、練習ラウンドに来場。ロッカーに財布を忘れた思い出もあるが、誰よりも入念に準備を重ねてきた。
シーズン中盤から新しく、メンタルトレーニングにも、スイングのマイナーチェンジにも取り組んでいる。「ドライバーがすごく飛ぶようになった。クラブの進化もボールの進化もあって、この5年でゴルフのスイング(理論)は100年の歴史が覆されるくらい変わった。自分も取り入れないといけないと思って」。プロ生活を20年以上送っていても「スイングもメンタルも新しい自分を見つけられる」と若々しい。
国内ツアー史上最高額の優勝賞金5000万円を手にし、賞金ランキングは70位から一気に4位に浮上した。まだ12試合ある残りのシーズンに向け「はい。勝ちますね、勝てると思います。予想していたよりも早い。かみ合ってきた」とニヤリとする。「ここから先、優勝争いをするのが楽しみ。円熟した、良いプレーができる期待が自分にある」。本格化する賞金王争いに過去5度のマネーキング、バリバリの現役永久シード選手が自信満々に飛び込んできた。(千葉県市原市/桂川洋一)