正真正銘の「ビギナーズラック」 マッチ初体験の42歳が4回戦へ
◇国内男子◇ISPSハンダマッチプレー選手権 3回戦~決勝 初日(6日)◇浜野ゴルフクラブ(千葉)◇7217yd(パー72)
8人のシード選手がいよいよ登場し、32人が臨んだ3回戦を“無印”の42歳が突破した。海老根文博(えびね・ふみひろ)がキム・キョンテ(韓国)を4&3で撃破。20年のプロ生活でシード権獲得経験のない男が、過去2度の賞金王に輝いた実力者を破る番狂わせを起こした。
昨年度のQTランキングは63位。海老根は今季レギュラーツアー3試合目の今大会の1回戦で小鯛竜也、2回戦でスンス・ハン(韓国)に勝利。この日は出だしから3ホール連続で奪って優勢に進め、キムに奪われたのは8番だけだった。
賞金王を相手に圧勝したホールアウト後も「本当にラッキーなだけ。キョンテの調子が本当に良くなさそうだった」と謙そんするばかり。ハウスキャディの隣で「僕自身も特別良かったわけではないですが、いつもよりパターが良かったです」と照れ笑いを浮かべた。
流れ、リズム、腹の探り合い…といったマッチプレーの勝敗を分ける駆け引きは知る由もない。「ビギナーズラックです、ビギナーズラック…」と繰り返すのにはワケがある。「マッチプレーは人生で(今大会が)初めてなんで。アマチュアのときにもやったことがない」と明かした。片山晋呉や宮本勝昌、横田真一らを輩出した茨城・水城高出身ながら、高校ではゴルフ部に所属していなかった。ゴルフ場の研修生を経てプロ入りしたこともあり、マッチプレーには縁遠かった。
今大会の優勝賞金は国内ツアー最高額の5000万円で、海老根のレギュラーツアーでの生涯獲得賞金(約2450万円)の倍額以上になる。5回戦の相手はツアー5勝の高山忠洋。「誰とやっても“当たって砕けろ”なんで」というベテランのチャレンジャーが秋口の台風の目になるかもしれない。(千葉県市原市/桂川洋一)