“あの喜び”が味わいたくて 伊澤利光が5年ぶりシード復帰
◇国内男子◇SMBCシンガポールオープン 事前情報◇セントーサGCセラポンC(シンガポール)◇7398yd(パー71)
ツアー通算16勝、2度の賞金王(2001、03年)に輝いた伊澤利光が、今シーズンは「生涯獲得賞金ランキング上位25位」の資格で、12年以来5年ぶりにシード復帰を果たす。初めて訪れたというシンガポールが、新シーズンの開幕の舞台となる。
「ダメでしょう。この暑さは…」。気温10度を下回る福岡から、30度を超す常夏の国に来た48歳は、さすがに愚痴のひとつもこぼさずにはいられない。だが、その表情には生気がみなぎり、ポタポタと垂れる汗もまるで喜びに弾むようだ。
今シーズンの復帰を決断したのは、昨年12月。当初は2018年を考えていたが、「1年で劇的に変わるわけじゃないし、試合の中で戦って良くしていきたい」と、前倒しした。このアジア2連戦も、シーズンのポイントとなる夏場を見据えてのもの。体の動く温暖な環境で、クラブやシャフトのセッティングを見極めたいという意図もある。
昨年来、伊澤が繰り返し語ってきた言葉がある。ツアー復帰するからには、シード獲得が目標ではなく、優勝したいということだ。「そりゃ、あの喜びは勝った人しか味わえないし…。やっぱり優勝でしょう」。思い出を辿る表情が、とろけるような笑顔に変わった。
「(昨年)日本プロにも出たけれど、そのときとはちょっと気持ちが違いますね。これから1年を戦うので、できるだけ良いスタートを切れるに越したことはない。簡単に優勝争いとはいかないだろうけど、予選を通って4日間プレーしたいです」
飛距離では300ydを軽々と超えてくる若手たちにはかなわないが、「重点的にやってきた」という100yd以内の精度で対抗する。「ザック(ジョンソン)じゃないけど、あれくらいのつもりでいかないとね」と、「マスターズ」を含むメジャー2勝をつかみとった精度の高さを自身のイメージに重ね合わせた。(シンガポール・セントーサ/今岡涼太)