2016年 HEIWA・PGM選手権

広島出身・谷原秀人の猛チャージ 「男気」の意味とは

2016/11/04 18:37
18番でバーディを奪い、ギャラリーの歓声に手を挙げて応える谷原秀人

◇国内男子◇HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2日目(4日)◇総武カントリークラブ 総武コース (千葉)◇7214yd(パー70)

逆転賞金王を狙う谷原秀人が猛チャージだ。2アンダー10位から出ると7バーディ、1ボギーの「64」をマークして、通算8アンダーの首位に浮上。約730万円差で賞金ランクトップを走る池田勇太に並び、3日目は最終組で直接対決に臨む。

連戦の疲れもあり、「調子が上がらない」とぼやいていた初日から一転、「きょうはパターが良くなった」と7つのバーディを量産した。前半9番で7mを沈めてバーディを奪うと、10番から12番は、いずれも4m前後の距離を沈めて4連続とした。

最終18番も、見守るギャラリーの前で第2打をピン右約2.5mにピタリとつけてバーディフィニッシュ。沸く歓声に手を挙げて応えた。「最後の方になって(昨年優勝したときの)イメージが出てきた。最高の終わり方」と笑顔で締めくくった。

ショットの調子はまだ確実な手応えを得られない。その中で粘りのプレーを呼び覚ましたものがある。前夜、宿泊先のホテルで見たドキュメンタリー番組。この日、現役引退の会見を行ったプロ野球・広島カープの黒田博樹投手を特集したものだった。

メジャーリーグから“男気”をもって舞い戻った広島を、25年ぶりのリーグ優勝に導いた立役者。黒田は中学生の頃から嫌いだったという野球を、ファンや支えられている人のために続けて頂点に立ったという。

「誰かのためにやれることがすごい・・・」と感銘を受けた谷原。広島出身者として、ひとりのカープファンとして、なにより同じアスリートとして受ける刺激は人一倍だった。「生き様に感動した。こんな人間がいるんだなと。それを考えたら自分は何もできていない。まずはギャラリーを喜ばせるようしないといけない」という思いに至った。

「自分のプレーはなかなか良くなってこないけど、多くの人に良いところを見てもらえるように頑張りたい」。猛チャージは周囲に報いたいという思いが凝縮した結果。自身初となる賞金王のタイトルも同じ。ファンの歓声と感嘆こそが、残るシーズンのモチベーションだ。(千葉県印西市/糸井順子)

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