ローンを組んでも高級車…通算賞金20万円のニューフェース
国内男子ツアー「~全英への道~ミズノオープン」2日目を終えて、今週がツアー通算2試合目となる高柳直人が通算4アンダーの7位タイに浮上。2010年末にプロ転向した無名の27歳が、上位でプロ初の予選通過を決めた。
ゴルフの名門・東北福祉大学出身で、松山英樹の3学年先輩にあたる。09年には国体優勝、10年「日本アマ」ではベスト8に入った実績を持つ。プロ転向後は出場優先順位を決めるQTで失敗が続いたが、昨年はファイナル(最終試験)まで進み自己ベストの37位に入った。今週はマンデートーナメント通過により、昨季「セガサミーカップ」(予選落ち)以来のツアー出場を決めた。
この5年間の獲得賞金は、下部ツアーで予選通過した3試合による201,150円のみ。ふだんは出身の茨城県内のゴルフ場でレッスンなどを行い、生計を立てている。
だが、「なぜか子供のころから車が大好きだった」という高柳の愛車は、トッププロに引けを取らない高級車、レクサス『IS F SPORT』だ。「500万円で購入した」という中古車で、今もローンの返済は続いているという。
「車好きということもあるけど、やっぱり教えているジュニアにも憧れられる選手になりたいし、プロはみんな良い車に乗っているじゃないですか。僕のモチベーションにもなっていますね」。
ちなみに今の愛車は2台目で、1台目は大学卒業直後に購入したBMW『M5』。これまた中古車ながら「背伸びして600万円で買った」という大きな買い物だったが、維持経費がかかり過ぎるという理由ですぐに手放した経緯があるとか。ツアーで取材を受けるのは初めてのはずだが、ゴルフの話よりも車の話が長くなった珍しいニューフェースだ。
「目標とする人」に挙げたのも、現役レーシングドライバーのジェンソン・バトン(英国)。さすがに冗談かと思えば、本人は大真面目だ。「世界は違うけどカッコいいし、長年に渡ってF1で戦っている。ファンサービスも良いし、自分もそういう選手になりたいと思っています」と目を輝かせて語った。
レースで言えばまだ決勝のグリッドについたところ。レギュラーツアー初賞金額を決める週末の“走り”に注目したい。(岡山県笠岡市/塚田達也)