前年覇者がお手本 ゆったりスイングの武藤俊憲が2位発進
国内男子ツアーの今季メジャー初戦「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」が14日(木)、埼玉県の太平洋クラブ江南コースで開幕。快晴微風の好コンディションが午前組のロースコアを後押しする中、武藤俊憲が4連続バーディ締めのラストスパートで「64」(パー71)をマークし、首位と1打差の7アンダー2位スタートを決めた。
「今日はショットが良かった」と、尻上がりに冴えが増したショットで後半インに6バーディを集中。5mを決めた最終9番以外はいずれも2~3mにつけており、ツアー屈指のショット巧者らしいノーボギーラウンドにも見える。だが、「開幕からずっと悪かった」と、持ち味のショットが湿り気味の中で迎えた今季メジャー初戦だった。
今週火曜日のプロアマラウンドも「曲がりっぱなし」。前日の練習日もコースには出ず、ドライビングレンジでの“特打”を強いられるほどの状態だったが、黙々と打ち続ける中で、ふと思い浮かんだ、あるベテランのスイングリズムが、好調に転じるきっかけとなったという。
武藤の脳裏に浮かんだのは、同じミズノ契約で前年大会覇者でもある、46歳・手嶋多一のゆったりとしたスイングだった。「(きょうは)手嶋さんみたいにゆっくり振って、ボールをコントロールできたのが良かった。ムキになっていないのに、クラブはしっかり振れている。あのイメージが欲しかった」。近くにあった手本が、悪循環に陥っていた自身の症状にぴたりとハマり、思わず笑みが浮かぶ。
「今までやったことはなかったけれど、曲がるのにムキになってもしょうがないと思って」。試合直前まで足掻き続けた末にたどりついたクールな心理状況も、「ドライバーも目いっぱい打たず、距離が出ないことが前提になるけれど、フェアウェイも多かった。一昨日(プロアマ)とは、えらい違いだった」と、ピンチらしいピンチのない絶好の滑り出しにつながった。
今年で37歳。「もう若いころとは違うし、ケアも必要になってきた」と、年齢からくる体の変化は否めない。ショットの不振についても、体のコンディションが理由の1つにあることを自ら認めている。
昨日の今日で、まだまだフルスイングを封印しての“応急処置”という状態ではある。「調子が悪いのに不思議な感じ」とビッグスコアには半信半疑だが、「良いまとめ方はできた」とうなずける部分も多い。「新発見? そうですね」。試行錯誤から生まれた策を“自分のもの”とできれば、ニュースタイルへのターニングポイントとなる。(埼玉県熊谷市/塚田達也)