初体験の“ジャンボラウンド” 3時起きの竹谷佳孝が4位発進
目が覚めたのは午前3時。タイマーセットした時刻よりも1時間半も早かった。埼玉県の太平洋クラブ江南コースで14日(木)開幕した国内男子メジャー「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」。竹谷佳孝は、胸の高まりを抑えられないまま初日の朝を迎えていた。
心拍数を増やした要因は、初めて同組でプレーすることになった尾崎将司の存在。12日(火)に予選ラウンドの組み合わせが発表されるなり、竹谷は普段から親交があり、ジャンボを師匠とする河井博大にこぼした。「自分、緊張してんすけど」。
竹谷が高校時代に腰を故障して野球の道をあきらめ、ゴルフ専門学校に進学した1990年代後半は、尾崎がちょうどベテランとなって再び迎えた全盛期だった。
10年来の下積み期間を経て、竹谷が昨年、国内メジャー「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」で初勝利を挙げて手にしたのは賞金3000万円や、5年間の長期シードだけではない。テレビの中のスーパースターにグッと近づける、そんな特別な時間も含まれている。
「勝ったときとも違う。優勝争いのときとも違う」震えるような緊張感。この日の竹谷の場合は、それが望ましく作用した。出だし1番(パー5)で2オンに成功し、バーディを先行。4番で手前から5mを沈めて2つ目を決め、安定したショットを武器にスコアを伸ばした。
ピンチらしいピンチはグリーンを左に外した17番(パー3)だけ。ここもアプローチをきっちり寄せてノーボギーでラウンドを締めくくり、5バーディの「66」(パー71)で4位タイで発進した。昨年末に本格的な治療に踏み切った左ひじ故障の回復、スイング修正の効果も実感できる好スタートにも、尾崎に「カチン!と振られたら(距離が)変わらない」と苦笑いするところに、スコア以上の充実感がにじみ出た。
戦前の予想を上回るバーディ合戦に「まだ初日。あした、あさってと続けて伸ばしたい。ここで満足していると置いていかれる」と言い切った。ジャンボは5オーバーの135位タイと大幅に出遅れたが、「まだ一日ある」と、竹谷のほどよい緊張感は解けなかった。(埼玉県熊谷市/桂川洋一)