松山英樹、ピンそば20センチに2オンでイーグル締め
4カ月ぶりに参戦した国内ツアーで圧倒的な存在感を見せつけている。宮崎県にあるフェニックスCCで開催中の「ダンロップフェニックストーナメント」の2日目、1イーグル6バーディ1ボギーの「64」(パー71)で回った松山英樹は、通算10アンダーとして単独首位に浮上。1打差2位に海外招待選手のジョーダン・スピースらなど後続を従えて、大会を折り返した。
同組の藤本佳則が左肩痛のため後半10番を終えて棄権すると、世界ランク14位のスピースと同20位の松山の2サムでの競演が始まった。10番から17番までの8ホールで、スピースが4バーディを奪い、松山は3バーディ。
和やかムードで迎えた18番(パー5)のティグラウンドで2人は言葉を掛け合った。「明日も一緒かなぁって話していて。計算したらジョーダンはイーグルが必要だったので、獲れるのかなぁと思っていたんですけどね――」と松山。
松山が残り240yの第2打を4Iでピンそば20cmにつけた後に、スピースは239yを5Wで90cmにぴたりとつける美技の応酬。両者イーグルで締めて「さすがですよね」と微笑んだ。「向こうはちょっと体調が悪いみたいだけど、その中でこれだけスコアを伸ばしてくる。自分も相手を感心させるくらい、良いプレーが出来たらと思う」。1歳下のライバルの存在は、松山の大きな刺激となっている。
ドライバーショットは、「良い感じで打てているけど、まだとんでもないミスも出る」。14番のバーディも、右の林に打ち込んだ第1打が木の幹に跳ねて真横のラフまで戻り、続くショットを1mにつけたもの。それでも、この日の平均飛距離は全体1位の300.50y。2日間通算でも全体2位につけている。「(14番の)セカンド以降、よい感じでプレー出来ているので良いかなと」。
一方のパッティングは、5番、11番、12番と7mほどのバーディパットを沈めるなど、平均パットは1.6667で12位タイ。「短いバーディパットを外したり、納得はいっていないけどそれもゴルフ。長いのが3つ入ったのは良かったと思う」。
松山の中で大きな手応えとなっているのは、両者のバランスだ。米国本土で行われた米ツアーの開幕2戦ではショットは良くて、パットがダメ。アジアシリーズではショットが悪く、パットが復調気配だった。「良い感じでかみ合って来ているのかなと思う」。それはつまり、戦える状態にあるということだ。
「(ホストプロとして)成績を出すのが一番の恩返しだと思っている。それに向けて金曜日から入ってやってきている」。ちょっぴりタイミング悪く、来年に向けた質問が出ると、松山は一瞬戸惑ったような顔をしてから静かに答えた。「今は、この試合で勝つことしか考えていないです」。
あと2日、松山の視界には、松でセパレートされたフェニックスCCの美しいレイアウト以外は見えていない。(宮崎県宮崎市/今岡涼太)