悪夢に打ち勝て!小田孔明が日本オープン制覇へ逃げ切り態勢
ツアー通算6勝の小田孔明が初の日本タイトルに王手をかけた。茨城県の茨城ゴルフ倶楽部 東コースで行われている「日本オープンゴルフ選手権競技」3日目。5アンダーの3位タイから出ると6バーディ、2ボギーの「67」で回り通算9アンダーとして単独首位に浮上した。2位の小林正則には3打差。得意の逃げ切り態勢を作って最終日を迎える。
ムービングデーは最終組のひとつ前、片山晋呉との同組ラウンドでこの日一番のギャラリーを引き連れた。地元茨城出身の永久シードプレーヤーへの声援が多く飛ぶ中、小田は序盤から持ち前のアグレッシブなプレーを披露。1番バーディ、2番ボギーという慌ただしい出だしながら、中盤にバーディラッシュを見せた。
5番で手前から5メートルを沈めると、奥から6メートルをねじ込んだ9番からは2連続。さらに184ヤードの13番(パー3)では8番アイアンでチャンスを作り、15番(パー5)でも5メートルを決めた。「自分への“ご褒美”と、気合を入れるために」と力強いガッツポーズ。終盤こそ伸び悩んだが、「何打差であろうとリードしているのは変わりない。こういうチャンスは滅多にない。“獲りたい”と思います」と賜杯への意欲をむき出しにした。
9月の「ANAオープン」を含め過去の6勝はすべて、最終日を首位(タイを含む)からスタート。積み重ねてきたデータが、自信を一層強いものにする。
しかし、思い起こすのは相模原ゴルフクラブが舞台だった2007年大会。2位に2打差を付けて単独首位から出ながらも、3バーディ、7ボギー、2ダブルボギーの「80」と大たたきし、8位フィニッシュ。当時、最終組で一緒にプレーしていた選手が片山でもあった。
そして昨年の那覇ゴルフ倶楽部では、トップに2打差の2位から最終ラウンドをスタートし、9ボギーの「80」(10位タイ)。日本一を決めるこの大会の日曜日には悔しい記憶が残っている。
だが小田は力強く言った。「あれ(07年)から何年も経って、今のゴルフ自体が相模原の教訓で出来ていると思う。精神状態も、ゴルフの調子も、日本オープンにピークを持ってこられてよかった。これで負けたら言い訳できない」。
明日20日(日)の雨予報にも「雨の試合でも勝ってきた。難しくなればなるほど勝てると思っている」と自らに言い聞かせた。悲願のメジャー制覇へ、最後の力を振り絞って走り抜ける。(茨城県つくばみらい市/桂川洋一)