惜敗の藤本佳則「必ず近いうちに勝つ!」
国内男子ツアーのプロ転向後、出場最速優勝記録の更新を狙った藤本佳則。「とおとうみ浜松オープン」で初日から3日目まで首位をキープし、ツアー3試合目というスピードで優勝するチャンスを迎えていた。
通算14アンダー、2位に2打差をつけて迎えた最終日も藤本の表情には余裕があった。1番、4番とバーディを奪い、5番パー3でティショットを左サイドの池に入れてしまうが、苦笑いが飛び出す程度だった。
ところが終盤、難易度の高い15番でボギーをたたくと、16番パー3はティショットを左に曲げながらも3mのパーパットを決めてしのいだ。ところが、続く17番で1.5mのパーパットがカップに蹴られてボギーをたたくとそれまでの笑顔は完全に消えてしまった。
この時点で首位はキープしたものの、1つ前の組でラウンドしているジェイ・チョイ(米国)が通算15アンダーで並んだからだ。最終ホールの3打目、ジェイの単独首位に浮上するバーディを目の前で確認した藤本は、残り60ヤードのアプローチをピン奥4mに止めた。入れなければプレーオフ進出を逃す場面。しかしバーディパットは無情にもカップの右ふちをなめてしまった。
通算15アンダー単独2位に終わった藤本は、肩を落とすこともなくクラブハウスに戻ってきた。「後半も“しびれた”とかはないですけど、最後みたいなゴルフをしていたら勝てませんね。でも、初めて最終日に最終組でラウンドして、どういうゴルフがダメなのかを知ることが出来ましたし、近いうちに必ず優勝のチャンスは来ると思う」と前方を見つめてかみ締めるように話す。
藤本のいうダメなゴルフとは、勝負どころで確実にパットを決められないこと。終盤は3ホール連続でカップに蹴られるなど運にも見放された場面があった。「逃げるのは難しいです。追いかける方が絶対に楽ですね。何打差であれ、今日の逆パターンで逆転優勝をすることも出来るということを知りましたので、次の戦いが楽しみです」。悔しさに涙を見せることもなく、その悔しさをすぐにでも晴らす気概を見せる藤本。ツアー初勝利は、そう時間を要せずに果たしそうだ。(静岡県浜松市/本橋英治)