【GDOEYE】“被災地”で開催中の国内メジャー第2戦
2日(木)に開幕した今季の国内メジャー第2戦「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills」。その舞台である宍戸ヒルズカントリークラブは、先の東日本大震災で被害を受けているコースの一つだ。
3月11日。茨城県中部、笠間市内に位置する同クラブは震度6強の地震に襲われた。一般営業の同日は、強い揺れにクラブハウスからは一斉に人が飛び出し、コース上にいたプレーヤー、キャディらは立っていることすらできない。幸い、けが人は無かったが、クラブ内は少なからず震災の爪痕が残った。
13番パー3はフェアウェイ上に10数センチの地割れが発生。2段グリーンも突如“3段”になってしまった。クラブハウスのガラスは10枚以上が割れ、天井やトイレのタイルも一部が剥がれ落ちた。2週間の臨時休業を余儀なくされ、復旧作業に全力を挙げる日々。営業再開ももちろんだが、昨年まで8年連続で開催してきたこの「ツアー選手権」が例年通り行われるかは大きな問題だった。日本ゴルフツアー機構が日程、会場を変更することなくツアーを開催することを発表した時は、総支配人の草野通朗氏も胸をなでおろしたという。
しかし施設が復旧したといえども、茨城県内のゴルフ場は客足が遠のいているところがほとんどだ。同コースも営業再開後、コンペを中心にキャンセルが相次いだ。原発事故による放射能漏れの影響を憂慮した首都圏のゲストが多く、県内のゴルフ場を取り巻く状況は厳しい。だからこそ同支配人は「茨城は被災地の一つとして忘れられがちなところなんです。この大会が大きく取り上げられることで、県全体の風評被害を払拭できたらと思います」と話す。
今大会は各ホールのギャラリースタンドを土台部分の強化を図りながら、昨年より低く、横に長く設営した。また、中継するNHKのカメラ用の矢倉は5分の1から3分の1の高さに。試合中のスコアボードも、地震発生時に備えて、注意を喚起する文言を表示している。また、テレビや携帯電話に緊急地震速報が流れた場合は即座に競技をストップする準備ができている。
「例年のように素晴らしい試合を期待しています」と同支配人。しかし間髪入れずに続けた「とにかく無事に4日間を終われたら」というのがやはり本音だ。(編集部・桂川洋一)