【GDOEYE】最難関ホールで唯一のバーディを奪った池田勇太が4打差で最終日へ
兵庫県の小野東洋ゴルフ倶楽部で行われている今季の国内男子ツアー初戦「日本プロゴルフ選手権 日清カップヌードル杯」。同大会2年ぶりの優勝を狙う池田勇太は3日目、「70」でスコアを一つ伸ばし、通算2アンダー。首位タイの河井博大、ベ・サンムンから4打差の5位タイで最終日に入る。
1アンダーの16位タイで決勝ラウンドに進出した池田は、いきなり2連続バーディで第3ラウンドをスタートさせた。1番で4メートルを沈め、2番(パー5)ではグリーン手前から3打目のアプローチをピンそば80センチにつける。爆発の予感を漂わせながら前半を終えると、最大の見せ場は後半に訪れた。
517ヤードの15番。パー4としては大会史上2番目に距離があるモンスターホールだ(最長は池田が優勝した2009年大会の北海道・恵庭カントリークラブの3番ホール=518ヤード)。予選ラウンド2日間は、約30ヤード前方のティグラウンドが使用されていたが、決勝2日間は正真正銘の500ヤード超。池田はドライバーでフェアウェイに置くと、打ち上げも含めてピンまで約260ヤードの第2打を3番ウッドでグリーンに乗せた。「狭い花道を駆け上がってくれ」という狙い通りの一打。さらにこの13メートルのフックラインを沈め、右拳を握り締めてガッツポーズ。この日の難易度1位の同ホールで、全選手中唯一のバーディを奪ってみせた。
最終18番でグリーン手前からのアプローチが寄らず、ボギーフィニッシュとなってしまい、ラウンド直後は憮然とした表情。いら立ちを隠せず「上がりでボギー打ったら、何にもならん」と吐き捨てる。しかし「4打差なんて全然問題じゃない。最後まで望みを捨てずにやるしかない」と闘争心は燃えたままだ。
3日目までの展開を見渡せば、最終日も①スコアを伸ばすべきパー5と400ヤード以内の短いパー4でいかに伸ばせるか、②距離のあるパー3と、難易度の高い15番以降の上がりホールをどう我慢するか、という2点が勝負の分かれ目となりそう。だが池田は「気を付けたり、注意したりするとか、そんな暇はない。トップを取れるかどうかそれだけ。悠長なことは考えられない」と話した。最終的に勝負を分けるのは、作戦や技術を超えたもの―そんなメッセージだった。
4打差を「届く位置。逆転できるところ」と表現した池田に、「手応えがあるからか?」という質問が飛ぶと「うん、そう」と、ぶっきらぼうに言った。投げつけるような一言が、大逆転劇を期待させた。(編集部・桂川洋一)